お金貯めて三日泊まるのが夏休み
週刊誌読んでやって来れば数珠繋ぎ
冷めたスープ放り投げるように飲まされて
二段ベッドでもあたいの夏休み
Summer Vacation  あたいのために
Summer Vacation  夏 翻れ

—中島みゆき「あたいの夏休み」

2010年11月19日金曜日

transformed into abstraction

唐突にこんなことを言うのもなんなのだが、アメリカに来てから見ず知らずの男性に声をかけられる事が増えた。信号待ち、喫茶店、ガソリンスタンド、プール等々トレンディドラマかどっきりかと思うようなシチュエーションで声をかけられるので、最初の頃はそれなりにうぶうぶしくドキドキもしていたものだが、けっきょくのところ東京で別段モテていたわけでもないのでアメリカに来て急にモテても自分の魅力が増したという自信に繋がるわけもなく、むしろつまるところ性愛というのは抽象的な記号によって立つところが多いのであるな、というnerdな結論に落ち着くしかないのだった。

そうなのである。わたしはいま、生まれてはじめてアジア人女性という記号を一身に背負うている。で、髪がのびまくったので最近は高い位置でひとつに結っているのだが、こないだでかいピアス(垂れ下がるやつ)を探している自分に気づき、アジア人女性のステレオタイプを強化しようとしている自分にポストコロニアル的アカデミア自我が待ったをかけたのであった。外国人として抽象的、匿名的記号に還元されることによって個人神話という絶え間ない差異化への欲望地獄から自由になるというのは皮肉なものだが、最終的な解放に至るにはまだまだ時間がかかりそうである。そんなわけでOh, me so horny, me-me so hormyと思わず口ずさむ秋の宵であった。