お金貯めて三日泊まるのが夏休み
週刊誌読んでやって来れば数珠繋ぎ
冷めたスープ放り投げるように飲まされて
二段ベッドでもあたいの夏休み
Summer Vacation  あたいのために
Summer Vacation  夏 翻れ

—中島みゆき「あたいの夏休み」
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2012年5月16日水曜日

Cinco de MayoとTex-Mex


さてここ二週間忙しすぎて書く時期を逸してしまっていたのだけれど、去る五月五日はアメリカではCinco de Mayoと呼ばれる祝日であった。友人Yがふざけてチンコデマヨと呼んでいたのを真に受けた素直なわたしは喜び勇んでチンコデマヨ、チンコデマヨ、と連呼していたのだが、ほんとうの読み方はシンコデマヨに近い(なぜかチンコの日本語の意味を知るPJが冷静に、おやめなさいお嬢さん、と注意してくれた)。スペイン語でそのまま五月五日を意味するこの日は、メキシカン・オリジンを持つアメリカ人たちが自分達の文化起源を祝う祝日である。


Cinco de Mayoを目前に控えた五月四日、最後の授業でわたしはGloria Anzaldua(アンサルドゥーアと読む)の "How to Tame a Wild Tongue" というエッセイを教えた。AnzalduaのエッセイはChicano/Chicanaのアイデンティティにとっていかに、Chicano Spanishという言語が重要であるかを雄弁に語る(雄弁にという言葉がクリーシェではないことをこんなに力強くかたるエッセイも中々ないように思う)。恥を忍んで言うと、たとえばChicano Literatureという言葉を聞いた時に、アメリカ文学研究専攻でありながら、…メキシコ系文学、ですよね?というくらいの雑な理解しかなかった私にとって、これをCinco de Mayoの前日、最後の授業で教える、というのはけっこう大きな感情的意味があった。一言で言えば、Chicano/Chicanaというのは、メキシコ系アメリカ人を指す言葉である(Chicanoの語源には諸説あるが、Mexicanoが変化してチカーノになった、という説が今のところは有力らしい)。もともとは貧困層のメキシコ系アメリカ人を揶揄して指すものだったChicanoという言葉をメキシコ系アメリカ人が自分達の文化的アイデンティティを示すために自ら使いだしたのは、1940年代にはじまり、1960年代後半に最盛期を迎えたChicano Movementという、一種の公民権運動の中でのことである。この運動の中で、Chicanoという概念はメキシコ人でも、アメリカ人でもない、二つの(あるいはそれ以上の)文化が交差したところに産まれるハイブリッドなアイデンティティを指すようになった。

テキサスに生まれ育ったAnzalduaは、状況に応じて多くの言語を使いわける。スタンダード・イングリッシュ(いわゆる「標準英語」)、労働者階級の使う英語スラング、スタンダード・スパニッシュ、スタンダード・メキシカン・スパニッシュ、北メキシコのスペイン語方言、そして中でも彼女がもっとも自分にとって身近に感じるとする、Chicano SpanishとSpanglishとよばれるTex-Mexである。Chicano SpanishとTex-Mex(この二つは厳密には異なるものだが)は、英語とスペイン語、それぞれのスラングや方言が入り交じった言語だ。アメリカで育つメキシコ系の人々は、北アメリカに特有のアクセントでスペイン語をしゃべるし、スペイン語に影響されたアクセントで英語を話す。二つの(そしてその多くのヴァリエーションの)言語は、どちらもChicano達の人格形成期に大きな影響を持つ。家ではMexican Spanishが使われる事が多いし、学校や公的な場では英語が使われる。自己というのは多様な層からなるもので、公的な場で振る舞う自分も、家庭内の自分も、また友人、恋人に対する自分も、すべてが自己意識の一部分を担うもので、そのどれかの状況で使われる言語のひとつだけをとりだして「自分の言語」選ぶのは不可能である。だからこそ、Chicanoの言語は、多様な言語を混ぜ合わせたものとして産まれた。Anzalduaの文章は、それゆえ、スペイン語話者ではないわたしにとっては時に難解を極める。たとえば、彼女はChicano Spanishに関してこう書く。

But Chicano Spanish is a border tongue which developed naturally. Change, evolución, enriquecimento de palabras nueva por invención o adopción have created variants of Chicano Spanish, un nuevo, lenguaje. Un lenguaje que corresponde a un mode vivir. Chicano Spanish is not incorrect, it is a living language.

それにも関わらず、彼女の文章が異様に心に響くのは、それが複数の言語に囲まれて生きる人間のアイデンティティ形成の複雑さを物語るからである。Anzalduaは言う。

Chicanas who grew up speaking Chicano Spanish have internalized the belief that we speak poor Spanish. It is illegitimate, a bastard language. And because we internalize how our language has been used against us by the dominant culture, we use our language differences against each other. Chicana feminists often skirt around each other with suspicion and hesitation. For the longest time I couldn't figure it out. Then it dawned on me. To be close to another Chicana is like looking into the mirror. We are afraid of what we'll see there. 

 中学から英語を学ぶ事が義務づけられていながら、日常では英語にさらされずに生きることができる国で育ったわたしがAnzalduaの描く二言語状況に共感するというのもおかしな話だが、standardな言語に照らした時、自分の言語がどう響くかという問題は、外国人として英語でアメリカ人にアメリカ文学を教える時に、つきまとうもののひとつだ。わたしはどれだけこの言語を理解できているのか、細かなニュアンスは、スラングは、果たして理解できているのか、わたしの英語は相手に完全に届くのか。どれだけ練習を積んでも、どれだけ大丈夫だと言われても、不安は常に残る。Standard Englishに自分の言葉を照らしあわせ、時には金縛りにあったように言葉を失いそうになることもある。ひとつひとつの言葉の発音を確認するように、授業の前には自宅で自分の書いたスクリプト―実際の授業でそれを使うことはないにしても―を読み上げる。そうやって生徒の眼差しに臆することのないように、英語で自分を作り上げる。大丈夫、わたしの英語は少しあなたたちとは違うかもしれないけれど、わたしを教師として信頼してほしい、わたしはこの作品を理解しているし、あなたたちとそれを語り合ってお互いに理解を深める準備もできているから、と、片時も崩さない笑顔で、常に語りかける。

言語とアイデンティティというのは、深くきり結ばれている。

So, if you want to really hurt me, talk badly about my language. Ethnic identity is twin skin to linguistic identity--I am my language. Until I can take pride in my language, I cannot take pride in myself. 

わたしにはChicano SpanishやTex-Mexに相応する、日本語と英語を合せたJapanglishのような言語はないので、英語で話すときは知らぬ間に、英語環境内でのアイデンティティのようなものを構築しているように思える。ひとつには日本語で話すときのようなこざかしさがわたしの不完全な英語では再現できないから、というのもあるけれど、英語のわたしは、日本語のわたしより、よく笑い、まっすぐで、表情も豊かだ。妙な話で、日本語で話していると(時に知らないひとと話している時)よく痰が絡むのだけれど、不思議なもので、英語でこれが起こった事はなくて、たぶんそれには喉のどの部分を使うかというのが関係しているのだとは思うけれど、同時にまた英語で話すときのほうが、肉体的はある種の文化的拘束から自由であるように感じる。けれど、しばらく毎日英語で話していると、日本語の自分が懐かしくもなる。下品で、賢しらだっていて、自意識過剰だけれども、同時にどうしようもなく言語そのものに対して真摯な自分が、ああ、あの人はどこにいったのかな、とふと不安になるとき、カリフォルニアにいるYと思い切り日本語で話したり、またこうやってブログを書いたりする。それは疑いようもなく、わたしの大切な一部である。だから、日本語のわたしを知ってもらうために、授業の最後には(この間のポストを書いた時から智恵子抄がやけに頭に残っていたので)、光太郎のレモン哀歌を日本語で朗読した。我ながら臭いとは思ったけれど、それは、恥ずかしいので南部訛を抑えることもあるという生徒達に、彼らの言語がどれだけわたしにとって柔らかく美しく響くかと言う事を、知ってもらうためでもあったと思うし、最後に拍手をもらった時には、やっぱりこうやって教えることができるのは幸せだな、と思った。


[Taco Saladのレシピ]
正直言って、アメリカ版のメキシコ料理であるTex-Mex(テキサスにはメキシコ系アメリカ人が多いので、独特の食文化が発達している)は、なんだか脂っぽいし重たいしで苦手意識があったのだけれど、Anzaluduaのエッセイを読んでなんだかしみじみTex-Mexのもつ文化的意義のようなものに敬意を表したくなったので、Cinco de MayoにはTex-Mexを自分で作ってみた。とはいえ申し訳ないがやはりTex-Mexの基本はメキシカンに大量の肉やチーズ、サワークリームを追加したもので(タコチップにサルサ、チーズ、ワカモーレ、タコミート、サワークリームをのせたナチョスなどはTex-Mexの代表で、メキシコではあまり食べないそうだ)、三十路を目の前にした身体にはしんどいものがあるので、ここはひとつTex-Mexの中でも比較的ヘルシーなTaco Saladを作ることにした。いろいろネットでレシピを検索したのだが、驚くべきことに多くのレシピが材料に「サラダドレッシング:1本」と明記しているのがそれにはさすがに腰が引けて、このレシピでは濃い味のタコミートでほとんどドレッシングいらずのサラダを実現している。材料は4人分だがいつもどおりPJとふたりで完食した。見かけはいまひとつですが、おいしいです。


☆アイスバーグレタス 小1玉
black bean salsa (またはふつうのサルサ)1カップ
☆トマト 2つ
☆オリーブ 5つ(なくても可)
☆トルティーヤチップ 好みの量(多め:袋1/3くらいがおすすめ)
☆シュレッデッドチーズ 1/2カップ(わたしはメキシカンミックスを使っています)
☆玉ねぎ 1/2個
☆にんにく 1かけ
☆ひき肉 200g(わたしはここではground turkeyを使っていますが、beefでももちろん可)
★オニオンパウダー 小1
★チリパウダー 小2
★パプリカ 小2 (あればスモークドパプリカ)
★クミン 小1
★カイエンヌペッパー 小1/2から1
★ガーリックソルト 小1 -2(味を見ながら)
★砂糖 大1/2-1
(上記★はタコシーズニング大1から2でも代用可)
◎シラントロ ひとにぎり
◎アボカド ひとつ
◎グリークヨーグルト 1/3カップ(またはvegenaise 大2)
◎ライム 1
◎蜂蜜 大1
◎ガーリックソルト 小1/2-好みで
◎タバスコ 好みで
(上記◎はアボカドドレッシング用。市販の好みのドレッシングで代替化)

①たまねぎ、にんにくはみじんぎり、トマトは8mm各のダイスに。
②フライパンにオイルを熱してにんにく、たまねぎの順に炒める。
③両方とも透明になったら(またはうっすら色づいたら)ひき肉をいれ、さらに炒める。色づいてきれいにほぐれるまで。
④シーズニング(★)を順に加えていく。これは好みなので(そして完全に上の分量も感覚なので)味を見ながら。サラダのトッピングなので辛目&濃い目がおいしい。
⑤トマトの半量(一つ分)を加え、さらに炒める。トマトの水分が完全に飛ぶまで。
⑥アイスバーグレタスは粗めの千切り、オリーブはうすぎり、チップスは袋のなかで粗く(あくまでとても粗く)くだく。
⑧ドレッシングを作る。シラントロは細かいみじんぎり、アボカドは身をくりぬいてフォークの背で潰してクリーム状に。ヨーグルトその他の材料を混ぜ合わせる。
⑨大きなボウルでアイスバーグレタスと残ったトマトのダイスを和える。その上にサルサ、チーズ、⑤のタコミート、チップス、オリーブを順番に乗せていく。
⑩アボカドドレッシングを添えて、それぞれとりわけて、ぐちゃぐちゃに混ぜて食べる。


[Cevicheのレシピ]
セビチェ、と読むこの料理はTex-Mexではなくて普通のメキシカンなのだけれど、たまに無性に生魚が食べたくなるわたしにとって救世主ともいえる料理である。ただし大量のレモンおよびライムを絞ることになるので、ある意味ではレモン哀歌な料理でもある。レストランではけっこう値段が張るのにおさらにちょこっとしか出ないけれど、自分で作ればこれでもかというほどお腹いっぱい食べられます。あとやっぱり見た目がとてもきれいで夏にぴったり。


☆ティラピアなど、白身の魚 400g
☆レッドオニオン 1/2個
☆シラントロ ひとにぎり
☆serrano pepper 2つ(またはjalapeno 1つ)
☆トマト 小1個(できればromanoなど、水分少なめのもの)
☆red (yellow, orangeでも可) bell pepper 1つ(省略可)
☆にんにく 1かけ
☆しょうが 1かけ
★レモン 2つ
★ライム 10個
★すし酢 大2
(★柑橘類の絞り汁と酢を合せて250ccになるように。わたしはレモンの酸味が苦手なのでライムをたくさん使います。香りがよいです。お酢は本来なら使いません。)
☆蜂蜜 大1-2
☆塩 小1
☆昆布茶 小1(なければ塩をすこし増やして)
☆カイエンヌペッパー 好みで

①レッドオニオン、シラントロ、serranoまたはjalapenoはすべてみじんぎり。しょうがとにんにくはすりおろす。トマトは8mm角のダイスにして、種を取り除く。bell pepperも同サイズのダイスに。
②★をすべて絞り、蜂蜜、塩、昆布茶、カイエンヌペッパーで調味。
③魚は1cm各のダイスに。骨も皮もすべてとってあるものをつかうこと。
④ガラスの器など、酸化しない容器に①から③をすべていれ、混ぜ合わせる。冷蔵庫で2-3時間マリネする。途中でかき混ぜて、魚の断面がすべてマリネ液で覆われるように。ピンクがかった魚が白くなれば食べごろ。邪道だが食べる時に数滴しょうゆをたらしてもよい。


そんなこんなで、今年も無事にアカデミックイヤーが終わり、ついにまた夏休みがはじまった。San Franciscoで行われるAmerican Literature Associationの学会で発表をしてから、友人Yの待つLAにしばらく滞在して、6月には日本に帰る。大切な人たちに、それから日本語の自分自身に会える、わたしにとってはかけがえのないひと月である。なので多少髪の毛が伸びすぎていてポニーテールにしていてアメリカのアジア人みたいになっていてもいじめないでほしいと思う。わたしだって前髪作りたいけど、こっちの美容院、どんなことになるか恐ろしくてまだ行ってないんです。だってみんなすげぇぱっつんなんだもん…

2012年5月1日火曜日

お豆いろいろ

That time of the monthというのは日本語の「いまアレなの」にあたる婉曲表現なわけだが、いまはthat time of the semester、男女とわずまわりのすべての大学院生がPMS並みにとんがる学期末である(ちなみにアメリカにいると当たり前だがPMSという概念が日本より浸透しているのでけっこうそのへんのコミュニケーションが楽である)。ペーパー書きというのは案外体力勝負で、忙しいからといって栄養補給を怠っていると頭が働かなくなる。以前のエントリーでも書いたけれども、肉食系の顔に似合わず肉がそんなに食べられないわたし(肉は好きなのだが食べるとけっこう腹をクリティカルに壊す)は、こちらにきて主たるたんぱく源がお豆になって以来、めっぽう体調がよい。アメリカはほんとうに驚くほどベジタリアンが多く、ベジタリアン用にいろいろおいしい豆レシピがあるので、今日はお豆料理をすこしばかりご紹介しようと思います(ええ、レシピ紹介のエントリーでこの画像はないだろうとは我ながら思いましたよ)。

[Baked Beans のレシピ]
好き嫌いはあまりないほうなのだけど、はじめて baked beansの缶詰を(ふつうの豆缶と間違えて買った)開けて食べた時は飲み込む事が困難で涙目になった。甘い、脳天をつくほどに甘いのだ。あんこだと思って食べればいけるのかもしれないが、あんこにしてはたまねぎの風味があるからなんか変だし、こいつはすごいパンチのあるアメリカ料理を食べてしまった、と思っていた。が、それを眉根に皺を寄せてPJに話したところ、いや…実はけっこうbaked beans好きなんだよね…と濡れた犬のようなまなざしで言っていたので、これはいかんと思い、わたしも食べられるようにアレンジしたのがこのレシピ。というのも前述のようにbaked beansは缶で売られていることが多いのだけれど、なんと1860年代、南北戦争時にはbaked beans缶が兵士たちに支給されたというほどにこれは歴史が深いアメリカ料理なのだ。しかもbaksed beansはBoston baked beansとも呼ばれるほどニューイングランドに根付いた料理なのだが、PJは大学時代から約10年をボストンで過ごしているので、これは貧しくとも光り輝いていた大学時代を思い出させる青春の味でもある。わたしがアジア系のグローサリーショップで買った大事な納豆を食べていたときにPJが、いやしかし聞きしに勝るさすがの匂いだね、といっていてやや悲しくなったのを思い出しもしたのだけれど、やはり食の好みはいろいろとはいえ、慣れ親しんだ故郷の味を無理と言われるのは辛いものだものね。もともとのレシピはもちろんしょうゆなしのシロップ増し(本格的なものはアメリカ文学ではお馴染みのmolassesという精製していない糖蜜を使います)。けれどもこのバージョンはしょうゆに加え生姜が効いていて、四人分をふたりで丸々完食したくらい美味しかったです。ポイントはとにかくベーコンをかりっと炒めることでしょうか(いきなりベジタリアンレシピではなくなっているところがわたしの業の深さだが、baked beansは別名pork beans。豚はかかせないのだ)。

☆豆の缶詰 (あればPinto beans、なければred kidney)2つ
☆たまねぎ 1つ
☆にんにく 1かけ
☆しょうが 1かけ
☆トマト 1つ
☆ベーコン 厚切り 4枚 (300gくらい:ブロックならさらによし)
☆メープルシロップ(またはmolasses)75mm
☆しょうゆ 50mm
☆ケチャップ 大3
☆ドライマスタード 大1
☆フライドオニオン (あれば)適量

①オーブンは180℃(350°F)に余熱。
玉ねぎ、にんにくはみじんぎり、トマトは1cm角のダイス、しょうがはすりおろし(みじんぎりでも可)、ベーコンは1.5cm 幅に切る。
②熱したフライパンでベーコンを炒める。炒めるというよりは、ベーコン自身からでた脂で揚げるような感じになる。とにかくじっくり熱すると脂が大さじ3くらいでてくる。かりっと色づいたらキッチンペーパーに乗せて脂をきる。
③ベーコンのあぶらを大1ほど残して捨てる。にんにくをいれて(しょうがもみじんぎりならこの段階で)ゆっくり熱し、香りがたったらたまねぎを投入し、ほんのり色づいてしんなりするまで炒め、取り出す。
④同じフライパンでトマトを炒める。余計な水分が飛べばOK
⑤メープルシロップ、しょうゆ、ケチャップ、マスタード、おろししょうがをまぜあわる。
⑥豆の缶詰をあけて軽く水洗いし、ボウルにいれてベーコンの2/3量、たまねぎ、にんにく、トマトとあわせ、⑤をかけてさらにまぜる。豆をつぶしすぎないように。
⑦耐熱皿に⑥をいれ、残りのベーコン、フライドオニオンをトッピングし、1時間半ほどオーブンで焼く。15分ほど置いてからめしあがれ。

[Peas and Rice のレシピ]
恥ずかしながら子供舌のわたしは白米があまり好きではないので小学校の給食の際にはけっこう苦労したクチなのだが、そのかわり混ぜごはん系には目がない。我が家はおばあちゃんが毎月お赤飯を炊いてくれいた(冒頭の話に戻るようだが別に女家族の月のものに合せていたわけでもなんでもなく、ご先祖様の命日が月に一度はあるからである。さすが不動尊のお膝元な我が家だね)のだけれど、この季節になるとそれがグリンピースの豆ご飯になる。懐かしいなぁ豆ご飯、と思っていたら、PJがしみじみと peas and riceが食べたい、と言っていたので、おやこれは日米同じ感覚なのかなと思ったら、実際にはこれは単にPJがグリンピース好きなだけで、アメリカでメジャーな料理ではないそう(そのかわりご飯ではなくpearl onionと呼ばれる小玉ねぎとグリンピースをクリーム煮にしたものは人気でwhole foodsのデリでもけっこう頻繁に出ている)。こちらはPJが作ってくれたなぜかすこしインド風の豆ご飯のレシピで、シナモンとガラムマサラが効いてぱくぱくいけてしまう。自分で再現したこの写真ではうちにブラウンライスしかなかったのでそれをつかっているのだけれど、もともとPJは白米で作っていて、そのほうがグリンピースには合ったし、白に緑がよく映えました。

☆お米  1.5合
☆冷凍グリンピース 1カップ (日本のカップなら1.5弱)
☆玉ねぎ 1/2個
☆しょうが 1かけ
☆ガラムマサラ 小1
☆シナモン 小1/2
☆塩こしょう 好みで

①ごはんはふつうに炊いておく。
②しょうがはみじん切り、たまねぎは粗く刻む。
③冷凍グリンピースはレンジで1分ほど加熱し、解凍しておく
④フライパンにオイルを大1熱し、ショウガ、ガラムマサラ、シナモンを弱火で炒める。
⑤香りがたったら玉ねぎを投入、うっすら色づくまで炒め、塩小さじ1弱で味付け。
⑥炊いたお米と解凍したグリンピースをフライパンにいれ、まんべんなく混ぜ、味をみて塩こしょうで仕上げ。

[Roasted Pepper Hummus のレシピ]
もともとは中東の料理のハマス、けれどもアメリカではベジタリアンの常食の代名詞でどこのスーパーにも間違いなく置いてある。平たくいえばひよこ豆のペーストで、野菜スティック(セロリやベイビーキャロット)のディップにもなるし、ピタブレッドやクラッカーにつけて食べれば朝ご飯にもなる。たっぷり入った1パックが3ドルしないくらいなので買ってしまえばいい話なのだが(そしてわたしは買って安くておいしいものは買う主義なのだが)、手作りのほうが断然おいしいのもまた事実。タヒニという胡麻のペーストの瓶を買ってしまえばあとはアレンジは自在、毎週好みの味のものを作りおきして冷蔵庫に入れておけば小腹が空いた時にとても助かるので忙しい大学院生にはお勧めです。こちらのレシピはroasted bell pepperというパプリカを焼いたものの瓶詰めを使ったバージョンだけれども、もちろんただひよこ豆、タヒニ、にんにく、塩こしょう、レモン、クミンだけのシンプルなものでもおいしい。ちなみにこちらに来て学んだのは中東料理はギリシャ料理(これまたPJの故郷の味)にとても似ているということ。なのでこのレシピでは高カロリーのタヒニを使いすぎないようにタヒニと無脂肪のグリークヨーグルトを半々で使って、同じ地中海地方のイタリアンスパイスを使っている。グリークヨーグルトはベジネーズ、または低脂肪のマヨネーズでも代替可です。

☆ひよこ豆の水煮缶詰 1つ (煮汁とわけて豆は水ですすぐ)
☆缶に入った煮汁 30-50mm (缶の煮汁を使うのに抵抗があれば水、あるいはオリーブオイルで代替可)
☆ローステッドベルペッパー 4きれ
☆にんにくすりおろし 1かけ分
☆タヒニ 大1-2(日本ならば練り胡麻で代替可。ただし練り胡麻のほうがタヒニよりかなり濃いのでその場合は大1で十分。好みで味をみながら)
☆プレーンヨーグルト(またはベジネーズおよびマヨネーズ、なければタヒニを増やす) 大1
☆トマトペースト 大1
☆レモン絞り汁 1つ分
☆砂糖 小1-2 (はちみつでも可)
☆塩こしょう 小1 (好みで)
☆イタリアンハーブミックス 小1
☆パンプキンシード 大2

①パンプキンシードはフライパンでから煎りしておく
②パンプキンシード以外の材料をすべてフードプロセッサーにかける。テクスチャーもも好みなのだが、最初は水分(煮汁または水、オリーブオイル)少なめで始めて、ゆるめが好みなら分量を増やす。
③②にパンプキンシードを練り込んで完成。

[Black Beans Salsa with Tortillaのレシピ]
またサルサか、という感じだが暑い国の人たちは暑い時になにを食べればよいかよく知っているわけで、うだるような暑さの日にはメキシコ料理に勝るものはない。最近メキシコ人とエルサルバドール人のカップル(El SalvadorというのはMexicoの南、Guatemara、Hondurasに面した小さな国で、El SalvadorというのはThe Savior、つまりキリストを意味する)と友達になったのだけれど、彼らの作るメキシコ料理とスペイン料理には、おいしすぎていつも涙が出そうになる(そしてたいていこれまたプールサイドか裏庭で食べる)。これはblack beansとtortillaを使っているのであっさりしていながら腹持ちもするレシピで、暑くていまいち食欲のでない朝のごはんにはぴったりだと思う。この分量でサルサは大きなタッパーウェア一つ分(カップ3から4くらい)できます。

☆トマト 大2つ
☆ブラックビーンズの水煮  1缶(少しスパイシーに煮た缶詰も売っているのでそれでもおいしい)
☆玉ねぎ 1/2個(できればred onion)
☆serrano pepperまたはjalapeno 1つ
☆冷凍コーン 1/2カップ(日本のカップなら2/3カップ)
☆シラントロ(香菜) ひとつかみ
☆にんにくすりおろし 1かけ(チューブのほうが辛みは抜けている)
☆塩(ガーリックそると) 小1
☆ライム 2つ またはレモン1つ
☆スモークドパプリカ 小2-3 (なければ普通のパプリカおよびチリパウダー。これらは見た目に反して辛くない。むしろ甘い)
☆トルティーヤ 人数分
☆チーズ (シュレッドしたものならひとり大1-2くらい、スライスならひとり一枚。わたしはmexican mixのシュレッドかpepper jackというスパイシーなチーズのスライスを使う)

①玉ねぎは細か目のみじん切りにして砂糖大1をふりかけ、ザルにおいて空気にさらす。トマトは8mm程度のダイス、シラントロはみじんぎり、serrano pepperは極こまかいみじんぎりにする。ブラックビーンズは缶をあけ、流水でよくすすいでザルにあげてよく水をきる。
②①とコーン、にんにく、塩、パプリカ、ライムまたはレモンの絞り汁をあわせてよく混ぜる。
③アルミホイルにトルティーヤを置いてその上にチーズをのせ、350°F(180℃)のオーブン、またはオーブントースターに入れてチーズがとろけるまで。
④サルサを好みの分量のせて、折り畳むようにしてがぶっと食べます。サルサのジュースが垂れてくるのでお皿は必須。

[Red beans and riceのレシピ]
そして忘れてはならないのがred beans and riceである。Baked beansが東海岸を代表する豆料理なら、red beans and riceは間違いなくLouisianaの誇るCreole豆料理である。こちらのレストランでは月曜日のランチスペシャルにred beans and riceが出されることが多く、なんでだろうと思っていたらもともとはお洗濯の日である月曜日に、日曜日の夕食のお肉の残りと一緒にことこと豆を煮込んだのがこの料理のはじまりだということ。本格的なものはham hockという骨つきの豚肉を使うのだけれど、こちらはAndouilleというLouisiana特産の粗挽きの太いソーセージ(もちろん旨辛いんだなこれが)を使った簡易版。けれども味は秀逸で、Louisianaローカルの友人にも誉められました。

☆red kidney beans 2缶
☆ベーコン 厚切り2枚 (わたしはpepper smoke baconというまわりに黒胡椒のついたものを使います。150gくらい)
☆Andouille 1本 (またはチョリソーなど辛めのソーセージ。なければとにかくおいしそうな太いソーセージ。200gくらい)
☆たまねぎ 1個
☆セロリ 5茎
☆Green Bell Pepper (ピーマン)1つ
☆Red Bell Pepper  (パプリカ)1つ
☆にんにく 2かけ
☆トマト 1つ
☆スモークドパプリカパウダー  (なければ普通のパプリカまたはチリパウダー)大1-1.5
☆タイム 小1
☆Cajun seasoning 小2(わたしはTonny'sというブランドのものを使っていますが、手に入らなければCayenne pepper 小1にガーリックパウダー小1で代用してください)
☆Worcestershire sauce 小1.5 (日本ではウスターソースの名で売られているあれです。わたしはあれ、薄いからウスターなのかと思ってましたよ)
☆蜂蜜 小1.5
☆チキンブロス 500mm
☆炊いたごはん 適宜
☆Green onion(青ネギ)少々

①red kidney beansは缶から出して水ですすいでおく。
②にんにく、玉ねぎ、セロリは粗めのみじん切り。Bell Peppersは両方8mm角のダイスに。トマトも同様。ベーコン、ソーセージはそれぞれ1cm幅に切る。
③フライパンをよく熱して、ベーコンを炒める。炒めるというよりは己の脂で揚げ焼きにするように。かりっとするまで。ペーパータオルにあげて余計な脂をきる。
④フライパンには大さじ2くらいの脂が残っているので、一度火をとめてそのなかににんにくを入れ、弱火で熱する。香りがでたらたまねぎ、セロリのみじんぎりをよく炒める。軽く色づくまで、15分くらい。
⑤Bell Peppersを入れてさらに5−10分炒める。以前にも書いたがこの、たまねぎ、セロリ、ベルペッパー(ピーマン)をじっくり炒めたものがholy trinityと呼ばれる香味野菜の三位一体で、多くのCreole料理のベースである。塩こしょう(ガーリックソルト)、Cajun seasoning、パウダー、タイムを加えて炒めあわせる。
⑥お鍋に⑤の野菜と③のベーコンを移しておく。
⑦⑤の野菜を炒めたフライパンに(野菜のうまみがでているから洗わない)クッキングスプレーをして薄切りにしたソーセージを両面焼いていく。Andouilleは特に柔らかいので炒めると崩れてしまう(それはそれでひき肉みたいでおいしいのだけれど)。焼き上がったらお鍋に入れる。
⑧⑦のフライパンで①の豆を軽く炒め、お鍋に。最後にトマトも軽く炒める。
⑨鍋にひたひたになるくらいチキンブロスをいれ、1時間半ほど極弱火で煮込む。途中何度か灰汁をとって(灰汁をとるという発想はあまりアメリカにはないのか、どのレシピを見てもこの記述はないのだが、こういう料理だとつい灰汁をとりたくなる日本人の性)。
⑩水分がだいぶ少なくなったら、Worcestershire sauceと蜂蜜を加える。ソーセージの味によってだいぶ辛みに差が出るので辛くしたければcayenne pepperやCajun seasoningで調味。
⑪しばらく置いて味を馴染ませたら、炊いたごはんのうえにたっぷりかけて召し上がれ。仕上げにgreen onionを刻んだものを乗せると香りがさらにいいです。


というわけで、お豆レシピのエクストラバガンザであった。学期末にこれだけレシピをアップロードするわたしは筆まめなのかしら、豆だけに、うふふ。と思ったが、これをペーパーからの逃避と呼ばずしてなんと呼ぶ。とにかく学期の終わりまであと二週間をきったので、ふんどし締め直してラストスパート、がんばります。

2012年4月13日金曜日

プールサイドでメキシカン

日本で春休みといえば、春は名のみの風の寒さや、という歌がしっくりくる、柔らかい陽射しに包まれながらひんやりとした芯を残すあの空気が思い出されるのだけれど、Louisianaの春休みはというとこれが、春は名のみの灼熱の太陽、抱いて抱いて抱いてセニョリータなお天気なのである。四月だというのにスタジアムにいけばひとびとは半裸体、歩いているだけで汗がしたたるようなこんな暑い日はそう、なんだか水辺でさっぱりしたものが食べたいな。

アメリカ人は休みの前となると必ずといっていいほど休みのプランを訊ねあう。たとえふつうの週末であっても、週末はどうするの?というのが金曜の定番の会話だし、月曜になると週末はどうだった?となる。こちらに来たばかりのときはなんというか、この休みにかける意気込みというか、休みは休みで遊ばなければ人間失格、みたいなこの文化に違和感があったのだけれど(だって日本じゃ誰もそんなこと聞かないじゃないですか)、二年も経つと当たり前にこれにも慣れてきて、春休み直前ともなれば当然のごとくTA仲間(アラサー女子4人)とSpring Breakどうするぅ?という会話にもなる。とはいえこいそがしい大学院生どうし、さしてお互い予定がないのはわかっているし、4人が4人とも小脇に30本のペーパーを抱えているわけで、えぇ、どうせグレーディングとペーパー書きだよ、今年30になるから決意の大人黒ビキニ買ったのにさ、着る機会なんてないんだから、とむくれていたら、一番年上のAが、お嬢さんビキニ着れるのも今のうちだから、うちにおいでなさいな、みんなでプールサイドでグレーディングしながらマルガリータでも飲みましょうや、という。


日本で自宅にプールというと小室哲哉かよという感じ(繰り返すが今年30になるのでなんと言われても小室哲哉の例は譲らない)なわけだが、アメリカの南では家にプールがあるというのはそんなに珍しいことではない。わたしの住んでいるところははもちろんLSUの大学院生用の築50年という年季の入ったボロアパートなので当たり前にプールなどないのだけれど、月に700ドル程度のアパート(Baton Rougeは家賃が安いのでこれで2ベッドルームのアパートが普通に借りられる)にも共用スペースにそれなりのプールがついているし、教授の家に行けば大抵これもまたプールがある(ただし一戸建ての場合プールに水を入れる水代ももちろん個人負担となるので、おじいちゃんおばあちゃんの先生のうちのプールには水がはいっていないこともある)。今年35になる生粋のLouisiana娘Aは結婚してちいさな子供もいるのだけど、昨年ついにプールのついた家をSaint FrancisvilleというBaton Rougeから車で30分くらいの街に買った。子供がいなければプールに水を張るのもめんどうくさい(掃除がけっこう大変なんだそうだ)のだけど、3歳の娘はすでにビキニをねだるお年頃、せがまれてプール開きをしたのでせっかくだから遊びにきたら、ということなのである。もちろんいつものごとくグレーディングとは名ばかりの小規模なポットラックになるわけだけれど、こうも暑いと秋冬にパーティに持っていくような焼き物はとてもじゃないが喉を通らない。そんなわけで今回はさっぱりしてお酒のおつまみにもなるメキシカンな野菜料理(くどいようだがアラサー女子、わたし以外はベジタリアンである)を持っていくことにした。

日本ではメキシコ料理というのは案外人気がなくて、わたしも日本にいた時は新宿のサザンテラスのエルトリートくらいしかいったことがなかったのだけれど、アメリカではどこのスーパーにいってもトルティーヤやタコチップ、サルサにワカモーレが普通に売られているし、写真のメキシカンのファストフードチェーン、Taco BellはMcDonaldと同じくらいの人気である。肉、炭水化物、乳製品の三位一体からなるアメリカ料理とは対照的に豆と野菜をふんだんにつかったメキシカンはわりとお腹に優しくスパイスが効いて暑くても食が進むので、ベジタリアンにも人気である(PJの家に3ヶ月ほど住んでいたインド人留学生Nのインド人コミュニティ作成による「留学の手引き」には「アメリカのご飯を食べ続けていると病気になるので、インド料理が手に入らない時はメキシコ料理で我慢しましょう。」とまじめに書いてあってなんだか笑えた)。とはいえここは南部、アジア人だけでなくラティーノ人口も驚くほど少ない地域なので、メキシカンレストランはそこそこの数があるのだけれど、カリフォルニア生活の長いPJに言わせれば、食べながら涙がにじむほどに残念なお味だと言う。実際わたしも何度かメキシカンレストランに足を運んだのだけれど、うーん、なんというのだろう、何を食べても同じ味がするというか、味に深みもコクもなく、首をかしげて終わることが多かった(正直に告白するとTaco Bellがいちばんまともに思えるくらいだった)。

が、わたしのアメリカ的メキシコ料理に対する思いを決定的に変えたのが去年のNew Mexicoへの旅であった。夏になると暑さと湿気の苦手なPJはLouisianaにはとうていいられないので、数十冊の本と飼い犬のFootyを白いヴァン、その名もMoby(白い鯨のMoby Dickから)に乗せて、休みが始まるや一目散に南部を飛び出す。今年はNew Mexicoだよ!友達が旅行するんで 一ヶ月半くらいhouse sitをしてほしいって!と興奮する大きな図体の少年に、よかったねぇ、楽しんでおいでね、と言ったら、なに言ってんの、Maddieも来るんだよ、あたりまえでしょ。と言われて一瞬凍り付いたのだけど、なにはともあれアメリカ西部というのはアメリカ人作家達の見果てぬ夢の地であるので(もちろん当時ペーパーを書いていたWilla Catherもアメリカ西部に残るNative American文化に魅せられたひとりで、The Professor's HouseはNew Mexicoを巡る物語でもある)、研究者のはしくれとしてはアメリカにいる間にその地を訪れないわけにはいかない。緑深きLouisianaとは対照的な赤土の大地と鼻血がでるほどに極限まで乾燥した空気、Grand Canyon周辺での産まれて初めてのキャンプや写真のTaos PuebloというNative American reservation訪問など、この旅はほんとうに貴重な思い出をたくさんくれたのだけれど、中でも特筆すべきはメキシコ料理のおいしさだった(ええNew Mexicoですから)。「アメリカ料理」という言葉がどうもしっくりこないのはこういう風に、地方ごとにおいしいものがまったく違うからなのだけど、とにかくスーパーに何気なく置かれたサルサでさえもおいしく、最初は自分が食べているのがあの南部で食べたサルサと同じものだと気づかず、なにこれ超おいしいね、なんていう料理?といいながら冷蔵庫に入っていたサルサ一瓶を完食し、PJに爆笑された。以下のサルサのレシピはその瓶に書いてあった材料をさらにわたし好みに改良したもので、New Mexicoから帰ってから暑くなると必ず作り置きしているものです。

[基本のSalsaのレシピ]
☆トマト 大3個
☆レッドオニオン 大1/2個
☆シラントロー(香菜)の葉っぱ部分 片手に一握り
☆セラーノチリ 1個 (青唐辛子なのだけれど、手に入らなければもちろんハラペーニョでもよいし、それもなければタバスコ10ふりくらい。その場合は塩を控えめに)
☆コーン お好みで。入れなくてもいいけれど、入れると甘みが出てよい。
☆ライム 2個 (またはレモン1個)
☆クミン 小2 (なんといってもこれが決め手な気がする)
☆お酢 大1 (いつものとおりすし酢を使いますが、正統レシピではこれはいれません)
☆ケチャップ 大1(これも正統レシピではいれないのだけれど、入れるとコクが出るのでわたしはついつい使ってしまいます)
☆塩こしょう 好みで

①玉ねぎは細かいみじん切りにして、砂糖大1をまぶしてザルの上で空気にふれさせ、辛みを抜く(流水に浸してもよいのだけれど、水っぽくなるのがいやなのでわたしはこの方法を使っています)
②トマトは1cm角のダイスに。余計な水分を除いてボウルに。種を除くレシピが多いのだけれど、種にうまみがあると試してガッテンで聞いて以来、真偽のほどはわからないけれどなんとなくわたしは種を残しています。
③セラーノチリは種を除いて極細かいみじん切りにしてボウルに。チリを切った後の手で目をこすったり局部を触ったりすると悶絶することになるので調理後は死ぬほど石けんで洗ってください。
④シラントローも細かいみじん切り。コーン、辛みを抜いたオニオンと一緒にボウルに入れる。
⑤ボウルにライムの絞り汁、クミン、ケチャップ、お酢を入れ、ゴムベラで全体をよく混ぜる。塩こしょうで調味して出来上がり(わたしはどうしてもひと味足りない時は昆布茶を足します。トマトの質によるので)。そのままでもアペタイザーになるし、写真のトルティーヤチップス(トルティーヤを揚げた、あるいは焼いたチップス。要は濃い味のついていないドリトスです)と一緒に食べるとおいしいスナックに。

[Mango Salsaのレシピ]
サルサというのはいろいろなヴァリエーションがあるのだけれど、なかでもお気に入りはマンゴーを使った甘酸っぱいもの。これは魚料理とよくあうので、下味を着けた白身魚のソテーに乗せるととてもきれいだし、爽やかでとてもおいしいです。マンゴーが安売りしている時にはぜひ試してみてください。

☆マンゴー 3個から5個
☆レッドオニオン 1/2個
☆セラーノチリ  1個(これもハラペーニョまたはタバスコで代用可)
☆シラントロ ひとにぎり
☆パプリカ 1個 (トマトでも代用可。なければ抜いても大丈夫です)
☆ライム 2個 (またはレモン1個)
☆塩こしょう 好みで

①レッドオニオンは基本のサルサ同様、辛みを抜くためにみじん切り後砂糖をまぶしてザルの上で放置する。
②マンゴーはヘッジホッグ(ハリネズミ)のように切る。マンゴーを厚みの薄い方を正面にくるようにして立て、真ん中に平たい種があるので、それを避けるように両側を切りおとす。真ん中ができるだけ薄くなるように。
③切り取ったマンゴーにナイフで格子状に切れ目を入れる。皮を切らないように、でも下まで刃先が届くように。
④真ん中をぐっとおすと、写真のようにマンゴーの実が花開くので、ダイスになった果肉を皮からそぐように切り落とし、ボウルへ。
⑤チリペッパー、シラントロは極細かいみじん切り、パプリカないしトマトは8mm角のダイスにしてボウルへ。
⑥ライム果汁、塩こしょうで調味。けっこうきつめに塩こしょうをしたほうが甘みとのバランスがとれて食べ物にはあいます。わたしはここでも懲りずに昆布茶を使うことがあります。

[Fish Tacosのレシピ]
タコスというとぱりぱりと固いタコシェルにひき肉の炒めたのやレタス、ダイスにしたトマトを乗せて食べるのが主流で、それはそれでとてもおいしいのだけれど、今回はせっかく安売りのマンゴーでおいしいサルサを作ったので、魚を使ったタコスを作ってみた。タコス部分自体も、揚げたシェルではなくて素のままのトルティーヤをつかっているのでとてもヘルシーです。

☆白身魚(tilapiaやmahimahiなど。日本なら鱈とかなのかなぁ。こちらでは皮をはいだ白身魚がけっこう売っているのだけれど、考えてみたら日本だとあまり見ない気が…手に入らない場合は、鶏の胸肉などでもおいしくできるはず)500g
☆トルティーヤ 6枚(いわゆる「ラップサンド」で使われているあれです)
☆マンゴーサルサ 適宜
☆ロメインレタス 1株
☆レッドオニオン 1/2個
☆マリネード (ライムの絞り汁2個分、お酢大2、にんにくすりおろし2かけ、はちみつ小2、ライムの皮のすりおろし2個分、クミン小2、チリパウダー小1、塩こしょう小1.5、その他にコリアンダーなど好みのスパイスをいれたものを混ぜ、最後にオリーブオイル大2を入れてさらにまぜる)
☆ドレッシング (無脂肪のプレーンヨーグルト: 100g、 マヨネーズまたはベジネーズ: 100g、 クミン小1、カイエンペッパー小1/2、乾燥ディル小1.5、はちみつ小2、ライムの絞り汁1個ぶん、塩こしょう適宜、タバスコ適宜をまぜる)

①白身魚はキッチンペーパーで水分をとり、大きめのそぎ切りに。ぜんぶで12枚くらいになるように。
②マリネードの材料をあわせ、ジップロックにいれた魚にかけて空気を抜いて口を閉じたら6時間ほど置く。
③レタスは千切りにし、玉ねぎはごくごく薄い薄切りに。玉ねぎは冷水に5分ほどさらして辛みをぬき、しっかりと水気をとる。
④フライパンを熱し、トルティーヤを一枚ずつ焼いていく。とはいえ、市販のものはもう焼けいているので、温める程度。片面1分ずつ程度。テフロンなら油はいらないけれど、想でない場合はクッキングスプレー(スプレー缶に入ったオイル)を軽くふきかける。
⑤フライパンを熱し、マリネ液をよくきった魚を片面ずつ焼いていく。ほぐれやすい魚なので、こわれないように気をつける。そぎ切りにしているので火の通りは早い。蓋をして片面2分ほどで焼ける。
⑥トルティーヤに一枚ずつ、レタスの千切り、玉ねぎの薄切りを好みの量のせて、その上に白身魚ふたきれずつとマンゴーサルサを乗せ、最後にヨーグルトドレッシングをかける。全ての材料をテーブルに並べて、ひとりずつ食べるたびに自分で作った方がおいしいです。写真のものはさらにguacamoleというアボカドのディップ(アボカド二つをつぶし、そこに玉ねぎのみじん切り1/2個、トマトのみじん切り1/2個、チリのみじん切り1個をいれてライムの絞り汁1個分と塩こしょうで調味したもの)を合せていますが、これはなくても十分ボリュームがあります。

言うまでもなくプールサイドでのグレーディングはさしてはかどらず、アラサー女子はだらだらと子育てやら研究やらについて話しながらビールを片手にのんべんだらりと束の間の休みを過ごしたのだけれど、個人的に今回とてもよかったのはAの3歳になる娘とたくさん遊べたこと。これまで子供にはなんだか苦手意識があったのだけれど、写真のセクシーな三歳児はなぜかわたしをいたく気に入ってくれて、BeyonceのSingle Ladiesをわたしだけのためにといって踊りまくり、果てはわたしがグレーディングをしている膝の上で眠りこけてしまった。いますぐというわけにはいかなくても、こどもがいる人生というのもいいんじゃないかな、などとオレオで口の周りを黒くしながら寝息をたてる子供をひょいと肩に担いで家の中に連れて行くお母さんのAを見て思った夕暮れだった。ついでに、決意の大人黒ビキニは女子連に大好評だったのだが、「アジア人とは思えないケツ」「貧乳をおぎなってあまりあるケツ」「太平洋を超えたケツ」となぜか尻ばかりに対して惜しみない賛辞をもらった。ええ、なんと言われようとあと五年はビキニを着られるようにがんばります。

2011年7月25日月曜日

Los Angeles, CA (4)

Los Angelesについてはまだまだいろいろ書くことがあって、撮り貯めた200枚超の写真を見ながらあの一週間を回想するとそれだけで幸せな気分になる(ふたりの顔の写っていない写真が驚くほど少ないのでこちらにアップできないのは残念だけど、ひとりでほくほくさせてもらっている)。たった一年ですっかり田舎生活に馴染んだ身としては都会の空気が少しだけ厳しく、外出から戻ったら手洗いうがいをする、というような都会生活のいろはをすっかり忘れて喉を痛めたりもして、人間は生まれ育ちの如何に関わらず生活の向き不向きというものがあるんだな、などと思いもしなくはなかったけれど、それでも字義通りにも比喩的にも万年晴れのLos Angelesは旅行者にとってはこの上なく楽しい場所なのである。

10年来の友人を口説き落としてついに脱がせ、初めて一緒に水着になったMalibu Beach(これまた億万長者の家々の壮観だったこと。ちなみに前述のGetty Museumの別館で、Gettyの私邸だったというGetty VillaもMalibuにあるのだけれど入るには予約が必要とのことで残念ながら行かれなかった。次回は是非行きたい)、万年晴れのLAの裏の顔ともいえる街唯一のWalmartがある裏さびれたエリア、それになんといってもいとしののdrag queen、Ravenを一目見たいというわたしの涙目の思いに答えて夜中に車を1時間以上飛ばして友人が連れて行ってくれたRiversideのThe Menagerieというゲイバー(なんとRavenそのひとは翌週West HollywoodにあるMicky'sでショウをするために不在だった…しかし初めてのドラッグショウ、ほんとにほんとにほんとに楽しくて、クイーン達におひねりをあげまくった。その度にじっと目を見てくれたり手を握ってくれたりするので失禁するほどうれしかった。自分がなにをしたいのかどこへむかっているのか最近よくわかりません) 、どれをとっても最高の出来事だった。

もちろん食いしん坊としては食べ物のことも書いておかねばならない。多くの都市同様、LAはレストランも充実しているのだけれど、なんといっても特筆すべきはアジア系の食べ物の強さである。写真左はコリアンタウンで彼女のお勧めの…これはなんという料理だったっけ、すっかり名前を忘れてしまったけれど(サムギョプサル?)、ごらんの通り豚バラ肉をじょきじょきとはさみで切って焼き鍋にのせ、周りのキムチスープと一緒に食べるもの。最後はここにごはんを入れておじやにして食べる。

アメリカ南部というのはアジアから遠く離れているためか、ほんとうにアジア人人口が少なくて、アメリカ中どこにでもあるという韓国料理店が驚くことに一店もない。アメリカ人の経営する中華料理店や寿司屋はあるのだが、それも正直言って、時に訪れるアジア料理に対する渇きを癒してくれる味とは言い難い。ただ、和食であればある程度は自分で作れるし、中華料理も工夫をすればそれなりにおいしいものが作れるのでよいのだが、こういう韓国料理だけは日本で作ったこともないのでどう逆立ちしてもできっこなく、時に、あー焼き肉食べたい!というような妙なホームシックに駆られるのだけど、ここLAに住む彼女はそんな望郷の想いとは無縁だろう。ダウンタウンにほど近いチャイナタウンでは写真のような飲茶もお腹いっぱい食べたし(おばちゃんたちがカートでいろんな飲茶を届けてくれる、あの本場式の飲茶である)、アメリカ印のハンバーガーでさえその名もUmami Burgerという、日本万歳なうまみたっぷりのバーガー屋さんがあり、これはわたしがいままでの人生で食べたバーガーの中で間違いなく一番おいしかったので、Los Angelesに行くことがあったらとりあえずだまされたと思って絶対行ってほしいところ。

しかし結局のところなによりもうれしかったのは忘れもしない去年のいまごろ、不安で泣きそうになりながらアメリカ入りしたわたしのBaton Rougeでの生活のセットアップを、はるばるLAから来てすべて(文字通り す べ て)手伝ってくれた友人と一年ぶりに再会して一週間過ごせたことで、二年連続でわたしのために夏休みを全部使わせた上、一週間で彼女の三ヶ月分くらいのマイレージを消費したのではないかというくらいさんざんいろんなところに車で連れて行ってもらって、すこし申し訳ない思いもやはり否定はできないのだけれど、毎週電話でさんざくさ話しているとはいえ実際に顔を見ればやっぱりこんなに安心できる相手がいるというのは奇跡的とでもいうほかなく、彼女の家でほんとうに満ち足りた時間を過ごさせてもらったのはほんとうに最高だった。

***

そんなわけで、わたしの苦学生なお財布ではなんのお礼もできないくらいの恩を受けたのだが、なにか出来ることはないかなぁと思っていた矢先、彼女が「ポットラックに持って行けるお料理はないかな?」と言ってくれたので、渡りに船とばかり一夜限りのお料理教室をさせてもらった。いろいろメニューは考えたのだけれど、アメリカだけではなく日本でもパーティに持って行って間違いなく喜んでもらえて、かつ外では(少なくともアメリカでは)なかなかおいしいものに出会えなくて、さらにはちょっとおしゃれな若い娘っぽい料理であるキッシュを一緒に作ることにした。ちょっと面倒くさいように思えるかもしれないけれど(そして実際自分のためだけになら絶対作らないくらい時間もかかるしカロリーも高いのだけれど)、生地から手作りしたキッシュの焼ける匂いというのは何にも代え難い幸せを(そうだな、たとえば一年ぶりの親友同士の再会くらいの幸せを)運んでくれるので、大切なひとになにか作ってあげたいときにはぜひ試してみてください。

[Roasted Onion Quicheのレシピ]

生地 (20cmのタルト型2台分なので半量で作っても)
 薄力粉 240g
バター 140g
卵 1
砂糖 大1
塩 小1/2
冷水 30ml

アパレイユ(卵液を気取ってこう呼びます)
卵 1
牛乳または生クリーム(またはhalf and halfのもの) 80ml
塩 少々
ナツメグ 少々
グレーテッド・パルメザン 大2から3

フィリング
たまねぎ 大2
マッシュルーム 1/2パック

まずは生地から。バターを1cmに切って冷凍庫に入れておく。薄力粉も冷蔵庫で冷やす。卵、砂糖、塩、冷水を溶きあわせてやはり冷やしておく。
バターと薄力粉をフードプロセッサーで撹拌する。バターが米粒大になるまで。(FPがない場合はカードかフォークで切り混ぜる。けしてバターが溶けないように注意)
②をボウルに移し、①の卵液を加え、混ぜる。あまり練らないように。水分が少し少ないように感じられてもそのうち馴染むので焦らなくてよい。とにかく練ってバターの塊がとけてしまったらさくさくにならないので要注意。
二つにわけてそれぞれラップでくるみ、冷蔵庫で最低半日、できれば一晩寝かせる(なお、この状態で冷凍もできる。)。これをしっかりしないと焼き縮む。
型にバターを塗り、小麦粉をはたく。
④の生地をオーブンシートで挟んで打ち粉を少々し、めん棒で均一に。型より3cmくらい大きくなるようにのばす。上のオーブンシートを外し、下のオーブンシートの下に手を滑らせ、裏返して型にあわせていく。底面から空気がはいらないようにくっつけてシートをはずし、その後で側面。焼き縮むので少し型より上にでるように指で押す。
フォークで軽く全体にピケ。そのまま1時間以上寝かせる(これも焼き縮みを防ぐため)
⑦の上にアルミフォイル、パイストーンを敷いて350°Fのオーブンで15分。アルミフォイルごとパイストーンを外したらさらに15分。これを空焼きという。
次はフィリング。玉ねぎは薄くスライス。マッシュルームもスライス。
フライパンにオイル(大1くらいかな)を熱して玉ねぎを炒める。あまり触らないでほっておく。玉ねぎがしんなりして水分が出たらバターを少し加え、塩こしょうで調味する。とにかく時間をかけて飴色になるまで。30分はかかるので覚悟しよう。
玉ねぎを一旦器にあけて、同じフライパンにオイルを少々足してマッシュルームを炒める。軽く塩こしょう。
アパレイユの材料を混ぜる。卵を泡立てるとオムレツのようになりがちなので優しく切るように。
空焼きしたタルトの上に玉ねぎ、マッシュルームを均一に乗せたらアパレイユを静かに注ぐ。350°Fのオーブンで40分焼いたら出来上がり。おつかれさま!あら熱をとって中身が落ち着いたら食べられます。


優しい友人のこと、わたしが帰った数日後には他にもいくつかあったサイドディッシュやスープなど、ぜんぶのレシピを試して、お気に入りのiPhoneで写真をとって送ってくれました。次に会うまでにまたわたしもたくさん新しいレシピを用意しておくので、どうかまたわたしの夏休みにはあなたの笑顔をいつも見せてくださいね。ほんとうに、ほんとうにありがとう。一年後に会う時には、もっと強くたくましく(それからあなたのかわりに運転もできるように)なっていますように!

2011年5月31日火曜日

Memorial Day and BBQ

我々大学院生にとってはもう2週間ほど前に夏休みは始まっているのだけれど、多くのアメリカ人にとって「夏休み」シーズンの始まりを告げるのが5月最終週の月曜日、Memorial Dayである。なんのmemorial?というと、うーん、war memorialだね、という答えが返ってきて、なんのwar?というと、うーん、そうだなぁ、最初は南北戦争だったらしいけど、いまはだいたい全部の戦争かなぁ、ということ。なんだか歯切れの悪い返事だが、つまるところ、もともとは戦死者を弔う日だったようだけれど、いまは定義もゆるんで、戦争にいったかどうかに関わらずお墓参りにいったり、久々に家族で会ったり、三連休なので旅行に行ったり、とりあえずアメリカ万歳、夏休み万歳、とみんなで盛り上がる日のようである。アメリカと夏休みを祝うためにかかせないものといえば、そう、バーベキューである。そんなわけでルイジアナの灼熱の太陽のもと(ちなみに日中は100°F、つまり40℃近いわけだったのだが)、自分が焼豚になるのではないかとくらくらしながら肉を貪り食ってきた。

アメリカといえばバーベキュー、バーベキューといえばアメリカ、というほどにBBQはアメリカ精神の源なのであるが、日本でいうところのバーベキューとこちらのバーベキューは少しばかりおもむきが違う。日本でバーベキューというと炭火で直火焼きをするイメージかと思うのだけれど、アメリカではその料理法はgrillingないしbroilingと呼ばれる。それではberbecueとはなにを指すかというと、高温の煙でじっくりと燻すような料理法なのであった(写真の全アメリカ人必携のBBQセットは、上の蓋をカパンと閉じて蒸し焼きにするようにできている)。もともとはSpainの入植者達がアメリカに豚を持ち込み、初めて豚を目にした南部のネイティブ・アメリカン達がそれをこの料理法で調理した、というのがberbecueの発祥らしく(ただしberbecueの語源であるbarbacoaという言葉はカリブ海地域のTaino族と呼ばれる人々の言語で「聖なる竃」を意味する)、berbecueは今でも南部のシンボリックな料理のひとつに数えられる。

基本的にはこの炉によるslow cookingの方法を総じてberbecueと呼ぶので、なにも多摩川河川敷でなくても室内でやったってberbecueはberbecueなのである。そんなわけでアメリカ全土、特に南部では犬も歩けばというほどにBBQレストランに遭遇する。日本の焼き肉屋さん(ただし調理済み)に相当すると考えればいいくらいだと思うのだが、値段は断然お手頃。ちなみにわたしの近所にはVoodoo Berbequeといういかにもルイジアナな名前のレストランがあり、見た目は超がつくほど怪しいのだが、安いしお肉はほろほろだし、今思い出して思わず生唾を飲んだくらいおいしい(が、いかんせんわたしの脆弱な腸では消化しきれないので、3ヶ月に一度くらいしかいけないのが残念なところ)。それから特筆すべきはソースで、日本でバーベキューソースというとあのケチャップとウスターソースを混ぜたような甘いたれが即座に連想されると思うのだが、どっこいこちらのバーベキューは土地によって味付けが違う(焼く肉の種類も違う)。North Carolina出身の男の子が言うことには彼の地元ではvinegarベースのマリネードに豚肉を漬け込んで、丸一日かけて焼く(というか燻すというか)らしいし、LouisianaではいつものごとくCajunスタイルのスパイシーなソースが定番である。

さてそれでは先日のBBQはどうだったかというと、どっこいこれがLouisiana風ではなかった。PJの新しいroommateであるgeekなDくんは以前も書いたかもしれないが高校生の時にコックになりたくてレストランでシェフについてふた夏じっくり料理を習った(その後Faulknerに出会い、自分はFaulknerの生まれ変わりだと確信して今に至るわけだが…しかしFaulknerの生まれ変わりはいったい何人いるんだろう、日米問わず)という強者で、普段は料理はあまりしないのだが、こういう機会になると俄然本領を発揮してくれる。上の写真にあるようなおしゃれなミニケバブ(ミニトマト、紫玉ねぎ、パプリカとチキンを一晩マリネードしたもの)とアスパラのベーコン巻き(アスパラ5本くらいずつを二枚のベーコンで巻いて、これも一晩マリネードしたもの)に始まり、牛ひき肉にブルーチーズ、ペッパーを練り込んだ小さなパテをグリルして挟んだミニバーガー(これはPJが作った)、それに立派なシャトーブリアン(さすが肉食系女子、Hが「Farmer's marketで買ってきた。24時間前まで生きてたんだって♥」といって買ってきてくれた)に焼きとうもろこし、と実に多種多彩だった。

わたしは毎度のごとくデザート担当で、今回はLouisiana産のブルーベリーが手に入ったので前回のタルト生地のあまりでブルーベリータルト、それからラズベリーが安かったのでマフィンカップでラズベリー入りのガトーショコラを焼いてクリームとブルーベリーソースで飾り、中心部のくぼみにバニラアイスとラズベリーソースを落としたものを作ったのだが、結局自分のデザートに辿り着く前に完全に腹が膨れてしまい、食べずじまいだった。みんなが帰った後でゆっくり食べようと思ったら会がお開きになる頃には両方とも見事に全部なくなっていて、アメリカ人の健啖さにまたも舌をまいた。タルトはホールだったし、ガトーショコラは10人だったので予備を含めて15個焼いたはずなんだけど。いや、もちろんうれしかったんだけど。それに焼いた後に味見はしたからいいんだけど。仕方ないので深夜に余ったバニラアイスにラズベリーソースとブルーベリーソース(どちらもものすごく簡単、小鍋にお砂糖とベリーを入れて少し煮立てて、最後にレモン汁を加えるだけ)をかけて、red, blue, and whiteでひとりアメリカ祭りをした。


***
そうなのだ、なにしろ今回はMemorial Day。フランボワーズ・ガトーショコラなどというフレンチかぶれた料理ではなく、これまたアメリカの魂のふるさと、ポテトサラダのレシピを紹介しようと思う。これはPJが教えてくれたのだけど、日本でいままでわたしが作っていたポテトサラダより格段においしかったので、覚え書き。

[PJのアメリカン・ポテトサラダ]
☆ジャガイモ 中6個(大なら4個。こちらではred potatoというのが小ぶりでおいしいので今回はそれを6個使った。)
☆新玉ねぎ 1個(普通の玉ねぎでも可。こちらではsweet onionというものがあるのでそれを使った)
☆Serrano pepper 1個 (青くて小さい唐辛子、なくても可…何で置き換えられるだろう?)
☆にんにく 1かけ
☆Vegenaise  大さじ4から6(vegetarian用のマヨネーズで、卵は使っていないのでカロリーも控えめ。こちらでは普通に売っているのだけど、材料も下に書いておいた)

①ジャガイモは8等分にして、大きなお鍋で水から茹でる。(red potatoは皮が柔らかいので剥かなかったし、基本的に皮は剥かない方がなんでも美味しいと思うのだけど、気になる場合はもちろん剥いても。)
②新玉ねぎはスライス。Serrano pepperもスライス。にんにくは潰してみじんぎり。
③フライパンにオイル(適量)とにんにくを入れて火をつける。じゅわじゅわとにんにくの香りがしてきたらSerrano pepper、新玉ねぎも投入。とにかくここでじっくり炒めること。基本的にそんなに触らなくてよい。焦げ付きに注意しながらたまに混ぜる程度で放置。飴色とまでいかなくても、きれいなきつね色になるまで。その間に他の料理を作っているといい。
④だいたいジャガイモのゆで上がりと③の完成が20分から30分と同じくらいなので、ジャガイモを茹でこぼしてよく水をきり、ボウルに入れて③とあわせる。
⑤ここで塩、こしょう、そしていつもすいません秘密のCajun spiceを好きなだけ(なければないで、チリペッパーとかキッチンの棚の奥に眠ってるいろんなスパイスを使ってあげてください)。ざっとあわせる。途中でじゃがいもが少しずつ潰れてくるが、日本のポテトサラダのように完全にマッシュはしない。
⑥Vegenaise、それからマスタードを味を見ながら加えて、さらに混ぜる。ここでディルやローズマリーなどのハーブがあれば入れる。温かいうちでもおいしいけれど、やっぱり冷やすともっとおいしい。

[vegan mayonnaise]
☆豆乳 1カップ
☆レモンの絞り汁 大さじ4 (大きめのレモン1個半くらい。あるいは同量の果実酢)
☆塩 小さじ1/2
☆粉末パプリカ 小さじ1/2
☆マスタード 小さじ1/2
☆蜂蜜 小さじ1/2
☆オリーブオイル カップ1/2

①オイル以外をブレンダーにかける。一番低速で。
②混ざったら、オイルをほとんど一滴一滴といってもいいくらいゆっくりと加える。その間もブレンダーは低速。でないと分離してしまう。
③だんだんとろみがついて、滑らかになるまでブレンダーで混ぜ続ける。冷蔵保存。

ほかにも豆腐をつかったレシピなどもあるけれど、これが一番簡単でお手軽なレシピのようだ。当然だけど普通のマヨネーズよりあっさりしていて、わたしはけっこう好きなのだった。ちなみにveganというのはvegetarianのさらに厳格なもので、お肉や魚はもちろんのこと、チーズ、バターなどの乳製品も使わない。PJはDが超してくる前、vegetarianのAとveganのMと暮らしていたのだが、お肉をむさむさほおばっていると二人から「…野蛮っ!」みたいな目で見られるのがちょっと辛かったらしく、お肉隊長のDと一緒に暮らすことになってほくほくである。ううむ、お腹のぽっこりがちょっと心配。

※追記※
先日、Tennesseeに行ってきた友人がMemphis特産のBBQソースを買ってきてくれた。このソースを使ってPJがBerbecue Chiken and Wild Riceというのを作ってくれて、いつもながらシンプルでとてもおいしかったので、覚え書きレシピを追加で書いておこう。

[Barbecue Chicken and Wild Riceのレシピ]
☆玉ねぎ 1個
☆ズッキーニ 2から3本
☆オクラ 2から3パック (ちなみにokraは南部料理に欠かせない野菜なので、こちらではとても安いし、冷凍でもたくさん売っている。中でも人気なのはfried okraなのだけど、この料理はまたいつか他の機会に)
☆鶏もも肉 1枚
☆ワイルドライス(玄米)1カップ
☆BBQソース 適宜(大さじ4くらい)
☆Creole spice (なければいつものようにパプリカ、ガーリックペッパー等で代用可)
☆塩こしょう

①玉ねぎはみじん切り、オクラは軽く湯がいて厚めの輪切り、ズッキーニも厚め(8mmくらい)のいちょう切りにする。鶏ももは一口大にして塩こしょう、酒をふっておく。
②ワイルドライスを洗って、鍋に水2カップとともに入れ、火にかける。沸騰したら弱火にして、ワイルドライスが水分を全て吸うまで(ちなみにこちらではごはんを炊く時はみなこうしたやり方になる。もちろん炊飯器で普通に炊いてもいいのだけれど、これはこれでアルデンテの粒パスタのように仕上がるのでこういう料理には向いている)。
③フライパンをよく熱して、オリーブオイルで玉ねぎをじっくり炒め、きつね色になってきたら(約15分弱)ズッキーニも加えて、さらに炒める。ズッキーニがしんなりしてきたら(3分弱)オクラも加え、さらに約2分ほど炒める。塩こしょう、クレオールスパイスで軽く味付け。ただし後でBBQソースを投入するので、そんなに濃い味にしなくてもOK。
④野菜を一度お皿に取り出しておいて、同じフライパンに少しオイルを足して十分にオイルが熱したら鶏肉を炒める。野菜のうまみを鶏に絡めるように。
⑤鶏肉に火が通ったら野菜を戻し、あわせて炒める。
⑥BBQソースを加えてさらに混ぜ合わせる。ワイルドライスを加えて炒めあわせてもいいし、別添えにして食べてもいい。所用時間、約30分。

2011年2月26日土曜日

Jambalaya

LSUに進学を決めた理由はいろいろあるのだけど、こんなことを言うとなにすっとぼけてんだと怒られそうだが、決め手のひとつにルイジアナの食文化があったのは、けして嘘ではない。

去年の今頃、いろいろな大学から入学許可が出て(これは自慢でもなんでもなく、それはもうどこにも受からなかったらやばいと思って死ぬ気で南の学校ばかり無節操に20校くらい受けたから、入学許可も出るというものなのだ)、気候とかプログラムとかあとはもちろんTAshipの額とか、いろいろ比較しつつ結局のところよくわからんな、と思いながらWikiでルイジアナを調べてたら、Holy Trinityという言葉が目に飛び込んだ。ルイジアナはもともとフランス領だったので、フランス系の血をひくCreoleやCajun(これらのethnic groupの定義はほんとにややこしくて、単にフランス系というだけではすまされないのだけど、とりあえずそれは措いておく)の文化が根強い。Creole料理はなんというのか、こってりと昔ながらのフレンチ系(ただししばしばスパイシー)、Cajun料理はもうちょっと全体的にシンプルなお父さんの料理(ただしほぼ間違いなくスパイシー)なのだけれど、ふたつの料理に共通しているのがこのholy trinityで、これはほとんどの料理に共通して使われる、たまねぎ、セロリ、ベルペッパー(日本で言うパプリカ)の香味野菜の三位一体を指す。フランス料理ではたまねぎ、セロリ、人参をみじんぎりにして炒めたものをmirepoixと呼ぶらしいのだけど、その名残なのだろう、大抵の場合この三種の野菜を細かく刻むかダイス状にしたものをゆっくりと炒めるところから料理が始まるのだけど、こうやって香味野菜をふんだんに使う料理がまずいはずもない。わたしのルイジアナの食文化にたいする敬意はWikiでこの言葉を目にした時にすでにほぼ確立され、それがわたしがLSUに進学を決めた理由のひとつにもなった。

あまり知られていないかもしれないが、日本のファミレスでも定番の味、ジャンバラヤも実はCajun料理である(ああなつかしのJonathan!)。なので当然のごとく、ルイジアナ中どのスーパーにもたいてい写真のようなジャンバラヤミックスが売っている。中にお米とスパイスのもとが入っていて、あとはholy trinityとソーセージ(ただしこっちのソーセージは直径4cm、長さは20cm以上でこれまたたいていスパイシー)、それに鶏肉があれば簡単にジャンバラヤが作れてしまう。これはこれでけっこうおいしいのだけれど、先日彼が海老とホタテを持ってきて、今夜は一緒にシーフードジャンバラヤを作ろう、というので自分達の創意工夫でジャンバラヤを作ってみたら、なんのことはない、ジャンバラヤミックスを使うまでもなくジャンバラヤというのは手軽な料理で、手作りするとうまさも倍増なのだった。覚え書きもかねてレシピを書いておこう。

まずはholy trinity。ただし今回はそれにくわえ、にんにく(2かけ)と生姜(1かけ)もみじんぎりにして最初にたっぷりめのオリーブオイルのなかで弱火で温める。じゅわじゅわしてきたらスライスした玉ねぎ(大1個)を投入。それからやっぱりスライスしたセロリ(3茎くらい)を加えて、じっくり炒める。玉ねぎがうっすら茶色くなるまで我慢。しゃにむにかき混ぜずにほっておいても水分が野菜から出るので大丈夫。途中、ダイスにしたベルペッパー(今回は緑1、赤1)も軽く炒めて、いい感じになったらクミン(これも最初はdiscommunicationのもとで、「キューマンある?」「なにそれ、そんなのないよ」みたいな感じで最初はクミンのことだとは思わなかった)、ターメリック、カイエンヌペッパー、塩こしょう(ガーリックソルトと普通の塩)、それから秘密の "slap ya mama" というケイジャンスパイス(数あるケイジャンスパイスのなかでこれが一番人気) でしっかり目に味付け。

海老とほたての下ごしらえ。白ワインと塩で軽くもめば、アメリカの魚介類特有の臭みもさほど気にならない。野菜が十分に炒まったら一度お皿にだして、同じフライパンにオリーブオイルを足して海老とほたてに焼き目をつけるように炒める。フライパンには野菜とスパイスのうまみが詰まっているので拭いたりしないこと。海老のほうが火が通るのに少し時間がかかるので、ホタテは海老がほんのり色づいてから。ソーセージや鶏肉を使ったジャンバラヤのときも、同じようにすればいい(ワインの下ごしらえはいらないけど)。軽く火が通ったら野菜をフライパンに戻して、一緒に炒めあわせる。

で、普通のジャンバラヤの場合はこの時点で洗っていないお米を入れて(1合半くらいかな)だいたいお米の2倍くらいのチキンブロスとダイスにしたトマト(2個くらい)を加えて、水分が煮立ったら30分くらい煮込むのだけれど、今回はちょっと急いでいたのとブロスがあまり残ってなかったのと、それからあまりトマト味が強すぎるのが好みではなかったので、フライパンに白ワインを50ccくらい足してアルコール分を飛ばして、そこにトマトペースト5cmくらいを加え、そこにお鍋で別炊きしていたごはんを投入して軽く炒めあわせた。今回はこの方法がうまくいって、チキンブロスで煮込むと魚介の味が薄まってしまうと思うのだけど、しっかりホタテと海老の風味がごはん全体に行き渡った。ごはんを炊くのにだいたい20分強かかる(沸騰してから10分、蒸らし10分)のだけど、ちょうど蒸らしが終わった頃に他の準備が終わったので、ごはんを炊き始めたのが開始10分弱くらいだったことを考えると、30分以内でジャンバラヤができたことになる。

わたしはもともと料理が好きで、昔付き合っていた人の家でもよくごはんを作ってバイトから帰ってくる彼を待つという演歌みたいなことをしていたのだけれど、同時にいつもひとりで作業をするということになれていたので、いま付き合っている人と会う前は誰かと一緒にごはんをつくるということをしたことがなかった。なので最初に一緒にごはんを作ろうと言われた時は腰が引け気味だったのだけど、何回か一緒に作ってるうちに、なんだこれ楽しいな、ということに気づいた。副菜も同時に作れるし(今回はnappa cabbageという白菜みたいな野菜のサラダと、それから写真前方右のdelicata squashというかぼちゃの一種をただオーブンで焼いて、ほんの少しの塩とバターをからめたもの。シンプルだけど、死ぬほどうまい。ちなみに左はspaghetti squashというもので、これも調理法はdelicata squashと同じなのだけど、焼き上がって割るとその名のとおりスパゲッティーみたいな繊維状の中身が出てくるので楽しい。ただし味はdelicataのほうが濃厚で好み)、なによりままごとみたいで童心に返る。コースワークで死ぬほど忙しい毎日だけど、こういうほっとできる一瞬があるのはほんとにありがたいな、と思う。はっ。のろけてしまった。でも今日も宿題の映画のレビューを一本書いたうえ、書き上がった瞬間に椅子の上で身体をうんとのばしたら椅子から転げ落ち、となりに置いてあった木製の椅子に頭を強打してしばらく動けなかったので、明日もしかしたら脳震盪が後から来て動けなくなるかもしれない(と本気でパニクったのだが)ので、こういう幸せな瞬間を記録しておくことも大事なのだとひとり納得。

2010年12月17日金曜日

巻いてやったぜ

こちらに来てからこのかた、ことあるごとにポットラックがあり、またその度ごとに「お寿司は?」と聞かれ「日本人は寿司は作らない。寿司は食べに行くものだ」と強弁するのにももう飽きてきた。おとついあたりようやく60ページのペーパーから解放され、しばらくあまりちゃんとした料理をしていなかったので、調子を取り戻すためにも、ええいこの際巻いてしまえ、とカリフォルニアロールなるものを作ってみた。わたしは日本人失格と在バトンルージュ日本人家族に後ろ指を指されてしまうほどのごはんいらず(あんまり白米に興味がないのだ)なのでもちろん炊飯器もないのだが、さてすし飯どうする。そうか鍋で炊こう。というところから始まった。

カリフォルニアロール(というかこちらのロールの8割)はごはんが外にくる、通称「裏巻き」である。寿司を導入しようとした当初、アメリカ人が海苔が黒々しているのに抵抗感をしめしたので、それじゃあ飯で巻けばよくない?と考案されたのがこの巻き方の発祥だとかなんとか。ともあれこれ、いったいどうやって巻いてるんだ?巻きすにごはんつかないの?と思ってたら、なんとラップを活用するのだな。まず普通に海苔を巻きすに置いて、その上にごはんを敷き詰め、その上からラップをかぶせたら海苔をひょいと持ち上げて裏返す。すると下から、巻きす→ラップ→ごはん→海苔の順番になる。で、海苔の上に具材(カリフォルニアロールの基本はカニカマ+アボカド+キュウリ+サーモンらしいのだけど、BRのサーモンは高いし鮮度がいまひとつなのでかわりに冷凍のマサゴとクリームチーズ、あとはツナバージョンも作った)を乗せて手前からきゅっきゅと巻く。切るのは多少大変だが、少し冷蔵庫に入れて落ち着かせて、一回一回濡れ布巾で包丁をよく拭きながら切ると案外きれいに切れる。

で、これがなかなかおいしいし(BRのお寿司屋さんにはけっきょく4件ほどいったが、どこもすし飯がいまいちなのだ。ていうか、すし飯じゃないのかも。単なる白米?)、 なんだかものすごく喜ばれるのだった。3合炊いて4本作った太巻きが瞬間的になくなった時には、なんだか日本人としての役目を果たしたような、また妙なステレオタイプの強化に一役買ったような(とはいえこんなこともあろうかと巻きすは持ってきていたわたし)、いつもながらのわきわきした気分になったが、とにかくわたしはやったのだ、この学期を乗り切って、その証にカリフォルニアロールを巻いたのだ!ひゃっほう。