お金貯めて三日泊まるのが夏休み
週刊誌読んでやって来れば数珠繋ぎ
冷めたスープ放り投げるように飲まされて
二段ベッドでもあたいの夏休み
Summer Vacation  あたいのために
Summer Vacation  夏 翻れ

—中島みゆき「あたいの夏休み」
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2012年5月16日水曜日

Cinco de MayoとTex-Mex


さてここ二週間忙しすぎて書く時期を逸してしまっていたのだけれど、去る五月五日はアメリカではCinco de Mayoと呼ばれる祝日であった。友人Yがふざけてチンコデマヨと呼んでいたのを真に受けた素直なわたしは喜び勇んでチンコデマヨ、チンコデマヨ、と連呼していたのだが、ほんとうの読み方はシンコデマヨに近い(なぜかチンコの日本語の意味を知るPJが冷静に、おやめなさいお嬢さん、と注意してくれた)。スペイン語でそのまま五月五日を意味するこの日は、メキシカン・オリジンを持つアメリカ人たちが自分達の文化起源を祝う祝日である。


Cinco de Mayoを目前に控えた五月四日、最後の授業でわたしはGloria Anzaldua(アンサルドゥーアと読む)の "How to Tame a Wild Tongue" というエッセイを教えた。AnzalduaのエッセイはChicano/Chicanaのアイデンティティにとっていかに、Chicano Spanishという言語が重要であるかを雄弁に語る(雄弁にという言葉がクリーシェではないことをこんなに力強くかたるエッセイも中々ないように思う)。恥を忍んで言うと、たとえばChicano Literatureという言葉を聞いた時に、アメリカ文学研究専攻でありながら、…メキシコ系文学、ですよね?というくらいの雑な理解しかなかった私にとって、これをCinco de Mayoの前日、最後の授業で教える、というのはけっこう大きな感情的意味があった。一言で言えば、Chicano/Chicanaというのは、メキシコ系アメリカ人を指す言葉である(Chicanoの語源には諸説あるが、Mexicanoが変化してチカーノになった、という説が今のところは有力らしい)。もともとは貧困層のメキシコ系アメリカ人を揶揄して指すものだったChicanoという言葉をメキシコ系アメリカ人が自分達の文化的アイデンティティを示すために自ら使いだしたのは、1940年代にはじまり、1960年代後半に最盛期を迎えたChicano Movementという、一種の公民権運動の中でのことである。この運動の中で、Chicanoという概念はメキシコ人でも、アメリカ人でもない、二つの(あるいはそれ以上の)文化が交差したところに産まれるハイブリッドなアイデンティティを指すようになった。

テキサスに生まれ育ったAnzalduaは、状況に応じて多くの言語を使いわける。スタンダード・イングリッシュ(いわゆる「標準英語」)、労働者階級の使う英語スラング、スタンダード・スパニッシュ、スタンダード・メキシカン・スパニッシュ、北メキシコのスペイン語方言、そして中でも彼女がもっとも自分にとって身近に感じるとする、Chicano SpanishとSpanglishとよばれるTex-Mexである。Chicano SpanishとTex-Mex(この二つは厳密には異なるものだが)は、英語とスペイン語、それぞれのスラングや方言が入り交じった言語だ。アメリカで育つメキシコ系の人々は、北アメリカに特有のアクセントでスペイン語をしゃべるし、スペイン語に影響されたアクセントで英語を話す。二つの(そしてその多くのヴァリエーションの)言語は、どちらもChicano達の人格形成期に大きな影響を持つ。家ではMexican Spanishが使われる事が多いし、学校や公的な場では英語が使われる。自己というのは多様な層からなるもので、公的な場で振る舞う自分も、家庭内の自分も、また友人、恋人に対する自分も、すべてが自己意識の一部分を担うもので、そのどれかの状況で使われる言語のひとつだけをとりだして「自分の言語」選ぶのは不可能である。だからこそ、Chicanoの言語は、多様な言語を混ぜ合わせたものとして産まれた。Anzalduaの文章は、それゆえ、スペイン語話者ではないわたしにとっては時に難解を極める。たとえば、彼女はChicano Spanishに関してこう書く。

But Chicano Spanish is a border tongue which developed naturally. Change, evolución, enriquecimento de palabras nueva por invención o adopción have created variants of Chicano Spanish, un nuevo, lenguaje. Un lenguaje que corresponde a un mode vivir. Chicano Spanish is not incorrect, it is a living language.

それにも関わらず、彼女の文章が異様に心に響くのは、それが複数の言語に囲まれて生きる人間のアイデンティティ形成の複雑さを物語るからである。Anzalduaは言う。

Chicanas who grew up speaking Chicano Spanish have internalized the belief that we speak poor Spanish. It is illegitimate, a bastard language. And because we internalize how our language has been used against us by the dominant culture, we use our language differences against each other. Chicana feminists often skirt around each other with suspicion and hesitation. For the longest time I couldn't figure it out. Then it dawned on me. To be close to another Chicana is like looking into the mirror. We are afraid of what we'll see there. 

 中学から英語を学ぶ事が義務づけられていながら、日常では英語にさらされずに生きることができる国で育ったわたしがAnzalduaの描く二言語状況に共感するというのもおかしな話だが、standardな言語に照らした時、自分の言語がどう響くかという問題は、外国人として英語でアメリカ人にアメリカ文学を教える時に、つきまとうもののひとつだ。わたしはどれだけこの言語を理解できているのか、細かなニュアンスは、スラングは、果たして理解できているのか、わたしの英語は相手に完全に届くのか。どれだけ練習を積んでも、どれだけ大丈夫だと言われても、不安は常に残る。Standard Englishに自分の言葉を照らしあわせ、時には金縛りにあったように言葉を失いそうになることもある。ひとつひとつの言葉の発音を確認するように、授業の前には自宅で自分の書いたスクリプト―実際の授業でそれを使うことはないにしても―を読み上げる。そうやって生徒の眼差しに臆することのないように、英語で自分を作り上げる。大丈夫、わたしの英語は少しあなたたちとは違うかもしれないけれど、わたしを教師として信頼してほしい、わたしはこの作品を理解しているし、あなたたちとそれを語り合ってお互いに理解を深める準備もできているから、と、片時も崩さない笑顔で、常に語りかける。

言語とアイデンティティというのは、深くきり結ばれている。

So, if you want to really hurt me, talk badly about my language. Ethnic identity is twin skin to linguistic identity--I am my language. Until I can take pride in my language, I cannot take pride in myself. 

わたしにはChicano SpanishやTex-Mexに相応する、日本語と英語を合せたJapanglishのような言語はないので、英語で話すときは知らぬ間に、英語環境内でのアイデンティティのようなものを構築しているように思える。ひとつには日本語で話すときのようなこざかしさがわたしの不完全な英語では再現できないから、というのもあるけれど、英語のわたしは、日本語のわたしより、よく笑い、まっすぐで、表情も豊かだ。妙な話で、日本語で話していると(時に知らないひとと話している時)よく痰が絡むのだけれど、不思議なもので、英語でこれが起こった事はなくて、たぶんそれには喉のどの部分を使うかというのが関係しているのだとは思うけれど、同時にまた英語で話すときのほうが、肉体的はある種の文化的拘束から自由であるように感じる。けれど、しばらく毎日英語で話していると、日本語の自分が懐かしくもなる。下品で、賢しらだっていて、自意識過剰だけれども、同時にどうしようもなく言語そのものに対して真摯な自分が、ああ、あの人はどこにいったのかな、とふと不安になるとき、カリフォルニアにいるYと思い切り日本語で話したり、またこうやってブログを書いたりする。それは疑いようもなく、わたしの大切な一部である。だから、日本語のわたしを知ってもらうために、授業の最後には(この間のポストを書いた時から智恵子抄がやけに頭に残っていたので)、光太郎のレモン哀歌を日本語で朗読した。我ながら臭いとは思ったけれど、それは、恥ずかしいので南部訛を抑えることもあるという生徒達に、彼らの言語がどれだけわたしにとって柔らかく美しく響くかと言う事を、知ってもらうためでもあったと思うし、最後に拍手をもらった時には、やっぱりこうやって教えることができるのは幸せだな、と思った。


[Taco Saladのレシピ]
正直言って、アメリカ版のメキシコ料理であるTex-Mex(テキサスにはメキシコ系アメリカ人が多いので、独特の食文化が発達している)は、なんだか脂っぽいし重たいしで苦手意識があったのだけれど、Anzaluduaのエッセイを読んでなんだかしみじみTex-Mexのもつ文化的意義のようなものに敬意を表したくなったので、Cinco de MayoにはTex-Mexを自分で作ってみた。とはいえ申し訳ないがやはりTex-Mexの基本はメキシカンに大量の肉やチーズ、サワークリームを追加したもので(タコチップにサルサ、チーズ、ワカモーレ、タコミート、サワークリームをのせたナチョスなどはTex-Mexの代表で、メキシコではあまり食べないそうだ)、三十路を目の前にした身体にはしんどいものがあるので、ここはひとつTex-Mexの中でも比較的ヘルシーなTaco Saladを作ることにした。いろいろネットでレシピを検索したのだが、驚くべきことに多くのレシピが材料に「サラダドレッシング:1本」と明記しているのがそれにはさすがに腰が引けて、このレシピでは濃い味のタコミートでほとんどドレッシングいらずのサラダを実現している。材料は4人分だがいつもどおりPJとふたりで完食した。見かけはいまひとつですが、おいしいです。


☆アイスバーグレタス 小1玉
black bean salsa (またはふつうのサルサ)1カップ
☆トマト 2つ
☆オリーブ 5つ(なくても可)
☆トルティーヤチップ 好みの量(多め:袋1/3くらいがおすすめ)
☆シュレッデッドチーズ 1/2カップ(わたしはメキシカンミックスを使っています)
☆玉ねぎ 1/2個
☆にんにく 1かけ
☆ひき肉 200g(わたしはここではground turkeyを使っていますが、beefでももちろん可)
★オニオンパウダー 小1
★チリパウダー 小2
★パプリカ 小2 (あればスモークドパプリカ)
★クミン 小1
★カイエンヌペッパー 小1/2から1
★ガーリックソルト 小1 -2(味を見ながら)
★砂糖 大1/2-1
(上記★はタコシーズニング大1から2でも代用可)
◎シラントロ ひとにぎり
◎アボカド ひとつ
◎グリークヨーグルト 1/3カップ(またはvegenaise 大2)
◎ライム 1
◎蜂蜜 大1
◎ガーリックソルト 小1/2-好みで
◎タバスコ 好みで
(上記◎はアボカドドレッシング用。市販の好みのドレッシングで代替化)

①たまねぎ、にんにくはみじんぎり、トマトは8mm各のダイスに。
②フライパンにオイルを熱してにんにく、たまねぎの順に炒める。
③両方とも透明になったら(またはうっすら色づいたら)ひき肉をいれ、さらに炒める。色づいてきれいにほぐれるまで。
④シーズニング(★)を順に加えていく。これは好みなので(そして完全に上の分量も感覚なので)味を見ながら。サラダのトッピングなので辛目&濃い目がおいしい。
⑤トマトの半量(一つ分)を加え、さらに炒める。トマトの水分が完全に飛ぶまで。
⑥アイスバーグレタスは粗めの千切り、オリーブはうすぎり、チップスは袋のなかで粗く(あくまでとても粗く)くだく。
⑧ドレッシングを作る。シラントロは細かいみじんぎり、アボカドは身をくりぬいてフォークの背で潰してクリーム状に。ヨーグルトその他の材料を混ぜ合わせる。
⑨大きなボウルでアイスバーグレタスと残ったトマトのダイスを和える。その上にサルサ、チーズ、⑤のタコミート、チップス、オリーブを順番に乗せていく。
⑩アボカドドレッシングを添えて、それぞれとりわけて、ぐちゃぐちゃに混ぜて食べる。


[Cevicheのレシピ]
セビチェ、と読むこの料理はTex-Mexではなくて普通のメキシカンなのだけれど、たまに無性に生魚が食べたくなるわたしにとって救世主ともいえる料理である。ただし大量のレモンおよびライムを絞ることになるので、ある意味ではレモン哀歌な料理でもある。レストランではけっこう値段が張るのにおさらにちょこっとしか出ないけれど、自分で作ればこれでもかというほどお腹いっぱい食べられます。あとやっぱり見た目がとてもきれいで夏にぴったり。


☆ティラピアなど、白身の魚 400g
☆レッドオニオン 1/2個
☆シラントロ ひとにぎり
☆serrano pepper 2つ(またはjalapeno 1つ)
☆トマト 小1個(できればromanoなど、水分少なめのもの)
☆red (yellow, orangeでも可) bell pepper 1つ(省略可)
☆にんにく 1かけ
☆しょうが 1かけ
★レモン 2つ
★ライム 10個
★すし酢 大2
(★柑橘類の絞り汁と酢を合せて250ccになるように。わたしはレモンの酸味が苦手なのでライムをたくさん使います。香りがよいです。お酢は本来なら使いません。)
☆蜂蜜 大1-2
☆塩 小1
☆昆布茶 小1(なければ塩をすこし増やして)
☆カイエンヌペッパー 好みで

①レッドオニオン、シラントロ、serranoまたはjalapenoはすべてみじんぎり。しょうがとにんにくはすりおろす。トマトは8mm角のダイスにして、種を取り除く。bell pepperも同サイズのダイスに。
②★をすべて絞り、蜂蜜、塩、昆布茶、カイエンヌペッパーで調味。
③魚は1cm各のダイスに。骨も皮もすべてとってあるものをつかうこと。
④ガラスの器など、酸化しない容器に①から③をすべていれ、混ぜ合わせる。冷蔵庫で2-3時間マリネする。途中でかき混ぜて、魚の断面がすべてマリネ液で覆われるように。ピンクがかった魚が白くなれば食べごろ。邪道だが食べる時に数滴しょうゆをたらしてもよい。


そんなこんなで、今年も無事にアカデミックイヤーが終わり、ついにまた夏休みがはじまった。San Franciscoで行われるAmerican Literature Associationの学会で発表をしてから、友人Yの待つLAにしばらく滞在して、6月には日本に帰る。大切な人たちに、それから日本語の自分自身に会える、わたしにとってはかけがえのないひと月である。なので多少髪の毛が伸びすぎていてポニーテールにしていてアメリカのアジア人みたいになっていてもいじめないでほしいと思う。わたしだって前髪作りたいけど、こっちの美容院、どんなことになるか恐ろしくてまだ行ってないんです。だってみんなすげぇぱっつんなんだもん…

2012年5月1日火曜日

お豆いろいろ

That time of the monthというのは日本語の「いまアレなの」にあたる婉曲表現なわけだが、いまはthat time of the semester、男女とわずまわりのすべての大学院生がPMS並みにとんがる学期末である(ちなみにアメリカにいると当たり前だがPMSという概念が日本より浸透しているのでけっこうそのへんのコミュニケーションが楽である)。ペーパー書きというのは案外体力勝負で、忙しいからといって栄養補給を怠っていると頭が働かなくなる。以前のエントリーでも書いたけれども、肉食系の顔に似合わず肉がそんなに食べられないわたし(肉は好きなのだが食べるとけっこう腹をクリティカルに壊す)は、こちらにきて主たるたんぱく源がお豆になって以来、めっぽう体調がよい。アメリカはほんとうに驚くほどベジタリアンが多く、ベジタリアン用にいろいろおいしい豆レシピがあるので、今日はお豆料理をすこしばかりご紹介しようと思います(ええ、レシピ紹介のエントリーでこの画像はないだろうとは我ながら思いましたよ)。

[Baked Beans のレシピ]
好き嫌いはあまりないほうなのだけど、はじめて baked beansの缶詰を(ふつうの豆缶と間違えて買った)開けて食べた時は飲み込む事が困難で涙目になった。甘い、脳天をつくほどに甘いのだ。あんこだと思って食べればいけるのかもしれないが、あんこにしてはたまねぎの風味があるからなんか変だし、こいつはすごいパンチのあるアメリカ料理を食べてしまった、と思っていた。が、それを眉根に皺を寄せてPJに話したところ、いや…実はけっこうbaked beans好きなんだよね…と濡れた犬のようなまなざしで言っていたので、これはいかんと思い、わたしも食べられるようにアレンジしたのがこのレシピ。というのも前述のようにbaked beansは缶で売られていることが多いのだけれど、なんと1860年代、南北戦争時にはbaked beans缶が兵士たちに支給されたというほどにこれは歴史が深いアメリカ料理なのだ。しかもbaksed beansはBoston baked beansとも呼ばれるほどニューイングランドに根付いた料理なのだが、PJは大学時代から約10年をボストンで過ごしているので、これは貧しくとも光り輝いていた大学時代を思い出させる青春の味でもある。わたしがアジア系のグローサリーショップで買った大事な納豆を食べていたときにPJが、いやしかし聞きしに勝るさすがの匂いだね、といっていてやや悲しくなったのを思い出しもしたのだけれど、やはり食の好みはいろいろとはいえ、慣れ親しんだ故郷の味を無理と言われるのは辛いものだものね。もともとのレシピはもちろんしょうゆなしのシロップ増し(本格的なものはアメリカ文学ではお馴染みのmolassesという精製していない糖蜜を使います)。けれどもこのバージョンはしょうゆに加え生姜が効いていて、四人分をふたりで丸々完食したくらい美味しかったです。ポイントはとにかくベーコンをかりっと炒めることでしょうか(いきなりベジタリアンレシピではなくなっているところがわたしの業の深さだが、baked beansは別名pork beans。豚はかかせないのだ)。

☆豆の缶詰 (あればPinto beans、なければred kidney)2つ
☆たまねぎ 1つ
☆にんにく 1かけ
☆しょうが 1かけ
☆トマト 1つ
☆ベーコン 厚切り 4枚 (300gくらい:ブロックならさらによし)
☆メープルシロップ(またはmolasses)75mm
☆しょうゆ 50mm
☆ケチャップ 大3
☆ドライマスタード 大1
☆フライドオニオン (あれば)適量

①オーブンは180℃(350°F)に余熱。
玉ねぎ、にんにくはみじんぎり、トマトは1cm角のダイス、しょうがはすりおろし(みじんぎりでも可)、ベーコンは1.5cm 幅に切る。
②熱したフライパンでベーコンを炒める。炒めるというよりは、ベーコン自身からでた脂で揚げるような感じになる。とにかくじっくり熱すると脂が大さじ3くらいでてくる。かりっと色づいたらキッチンペーパーに乗せて脂をきる。
③ベーコンのあぶらを大1ほど残して捨てる。にんにくをいれて(しょうがもみじんぎりならこの段階で)ゆっくり熱し、香りがたったらたまねぎを投入し、ほんのり色づいてしんなりするまで炒め、取り出す。
④同じフライパンでトマトを炒める。余計な水分が飛べばOK
⑤メープルシロップ、しょうゆ、ケチャップ、マスタード、おろししょうがをまぜあわる。
⑥豆の缶詰をあけて軽く水洗いし、ボウルにいれてベーコンの2/3量、たまねぎ、にんにく、トマトとあわせ、⑤をかけてさらにまぜる。豆をつぶしすぎないように。
⑦耐熱皿に⑥をいれ、残りのベーコン、フライドオニオンをトッピングし、1時間半ほどオーブンで焼く。15分ほど置いてからめしあがれ。

[Peas and Rice のレシピ]
恥ずかしながら子供舌のわたしは白米があまり好きではないので小学校の給食の際にはけっこう苦労したクチなのだが、そのかわり混ぜごはん系には目がない。我が家はおばあちゃんが毎月お赤飯を炊いてくれいた(冒頭の話に戻るようだが別に女家族の月のものに合せていたわけでもなんでもなく、ご先祖様の命日が月に一度はあるからである。さすが不動尊のお膝元な我が家だね)のだけれど、この季節になるとそれがグリンピースの豆ご飯になる。懐かしいなぁ豆ご飯、と思っていたら、PJがしみじみと peas and riceが食べたい、と言っていたので、おやこれは日米同じ感覚なのかなと思ったら、実際にはこれは単にPJがグリンピース好きなだけで、アメリカでメジャーな料理ではないそう(そのかわりご飯ではなくpearl onionと呼ばれる小玉ねぎとグリンピースをクリーム煮にしたものは人気でwhole foodsのデリでもけっこう頻繁に出ている)。こちらはPJが作ってくれたなぜかすこしインド風の豆ご飯のレシピで、シナモンとガラムマサラが効いてぱくぱくいけてしまう。自分で再現したこの写真ではうちにブラウンライスしかなかったのでそれをつかっているのだけれど、もともとPJは白米で作っていて、そのほうがグリンピースには合ったし、白に緑がよく映えました。

☆お米  1.5合
☆冷凍グリンピース 1カップ (日本のカップなら1.5弱)
☆玉ねぎ 1/2個
☆しょうが 1かけ
☆ガラムマサラ 小1
☆シナモン 小1/2
☆塩こしょう 好みで

①ごはんはふつうに炊いておく。
②しょうがはみじん切り、たまねぎは粗く刻む。
③冷凍グリンピースはレンジで1分ほど加熱し、解凍しておく
④フライパンにオイルを大1熱し、ショウガ、ガラムマサラ、シナモンを弱火で炒める。
⑤香りがたったら玉ねぎを投入、うっすら色づくまで炒め、塩小さじ1弱で味付け。
⑥炊いたお米と解凍したグリンピースをフライパンにいれ、まんべんなく混ぜ、味をみて塩こしょうで仕上げ。

[Roasted Pepper Hummus のレシピ]
もともとは中東の料理のハマス、けれどもアメリカではベジタリアンの常食の代名詞でどこのスーパーにも間違いなく置いてある。平たくいえばひよこ豆のペーストで、野菜スティック(セロリやベイビーキャロット)のディップにもなるし、ピタブレッドやクラッカーにつけて食べれば朝ご飯にもなる。たっぷり入った1パックが3ドルしないくらいなので買ってしまえばいい話なのだが(そしてわたしは買って安くておいしいものは買う主義なのだが)、手作りのほうが断然おいしいのもまた事実。タヒニという胡麻のペーストの瓶を買ってしまえばあとはアレンジは自在、毎週好みの味のものを作りおきして冷蔵庫に入れておけば小腹が空いた時にとても助かるので忙しい大学院生にはお勧めです。こちらのレシピはroasted bell pepperというパプリカを焼いたものの瓶詰めを使ったバージョンだけれども、もちろんただひよこ豆、タヒニ、にんにく、塩こしょう、レモン、クミンだけのシンプルなものでもおいしい。ちなみにこちらに来て学んだのは中東料理はギリシャ料理(これまたPJの故郷の味)にとても似ているということ。なのでこのレシピでは高カロリーのタヒニを使いすぎないようにタヒニと無脂肪のグリークヨーグルトを半々で使って、同じ地中海地方のイタリアンスパイスを使っている。グリークヨーグルトはベジネーズ、または低脂肪のマヨネーズでも代替可です。

☆ひよこ豆の水煮缶詰 1つ (煮汁とわけて豆は水ですすぐ)
☆缶に入った煮汁 30-50mm (缶の煮汁を使うのに抵抗があれば水、あるいはオリーブオイルで代替可)
☆ローステッドベルペッパー 4きれ
☆にんにくすりおろし 1かけ分
☆タヒニ 大1-2(日本ならば練り胡麻で代替可。ただし練り胡麻のほうがタヒニよりかなり濃いのでその場合は大1で十分。好みで味をみながら)
☆プレーンヨーグルト(またはベジネーズおよびマヨネーズ、なければタヒニを増やす) 大1
☆トマトペースト 大1
☆レモン絞り汁 1つ分
☆砂糖 小1-2 (はちみつでも可)
☆塩こしょう 小1 (好みで)
☆イタリアンハーブミックス 小1
☆パンプキンシード 大2

①パンプキンシードはフライパンでから煎りしておく
②パンプキンシード以外の材料をすべてフードプロセッサーにかける。テクスチャーもも好みなのだが、最初は水分(煮汁または水、オリーブオイル)少なめで始めて、ゆるめが好みなら分量を増やす。
③②にパンプキンシードを練り込んで完成。

[Black Beans Salsa with Tortillaのレシピ]
またサルサか、という感じだが暑い国の人たちは暑い時になにを食べればよいかよく知っているわけで、うだるような暑さの日にはメキシコ料理に勝るものはない。最近メキシコ人とエルサルバドール人のカップル(El SalvadorというのはMexicoの南、Guatemara、Hondurasに面した小さな国で、El SalvadorというのはThe Savior、つまりキリストを意味する)と友達になったのだけれど、彼らの作るメキシコ料理とスペイン料理には、おいしすぎていつも涙が出そうになる(そしてたいていこれまたプールサイドか裏庭で食べる)。これはblack beansとtortillaを使っているのであっさりしていながら腹持ちもするレシピで、暑くていまいち食欲のでない朝のごはんにはぴったりだと思う。この分量でサルサは大きなタッパーウェア一つ分(カップ3から4くらい)できます。

☆トマト 大2つ
☆ブラックビーンズの水煮  1缶(少しスパイシーに煮た缶詰も売っているのでそれでもおいしい)
☆玉ねぎ 1/2個(できればred onion)
☆serrano pepperまたはjalapeno 1つ
☆冷凍コーン 1/2カップ(日本のカップなら2/3カップ)
☆シラントロ(香菜) ひとつかみ
☆にんにくすりおろし 1かけ(チューブのほうが辛みは抜けている)
☆塩(ガーリックそると) 小1
☆ライム 2つ またはレモン1つ
☆スモークドパプリカ 小2-3 (なければ普通のパプリカおよびチリパウダー。これらは見た目に反して辛くない。むしろ甘い)
☆トルティーヤ 人数分
☆チーズ (シュレッドしたものならひとり大1-2くらい、スライスならひとり一枚。わたしはmexican mixのシュレッドかpepper jackというスパイシーなチーズのスライスを使う)

①玉ねぎは細か目のみじん切りにして砂糖大1をふりかけ、ザルにおいて空気にさらす。トマトは8mm程度のダイス、シラントロはみじんぎり、serrano pepperは極こまかいみじんぎりにする。ブラックビーンズは缶をあけ、流水でよくすすいでザルにあげてよく水をきる。
②①とコーン、にんにく、塩、パプリカ、ライムまたはレモンの絞り汁をあわせてよく混ぜる。
③アルミホイルにトルティーヤを置いてその上にチーズをのせ、350°F(180℃)のオーブン、またはオーブントースターに入れてチーズがとろけるまで。
④サルサを好みの分量のせて、折り畳むようにしてがぶっと食べます。サルサのジュースが垂れてくるのでお皿は必須。

[Red beans and riceのレシピ]
そして忘れてはならないのがred beans and riceである。Baked beansが東海岸を代表する豆料理なら、red beans and riceは間違いなくLouisianaの誇るCreole豆料理である。こちらのレストランでは月曜日のランチスペシャルにred beans and riceが出されることが多く、なんでだろうと思っていたらもともとはお洗濯の日である月曜日に、日曜日の夕食のお肉の残りと一緒にことこと豆を煮込んだのがこの料理のはじまりだということ。本格的なものはham hockという骨つきの豚肉を使うのだけれど、こちらはAndouilleというLouisiana特産の粗挽きの太いソーセージ(もちろん旨辛いんだなこれが)を使った簡易版。けれども味は秀逸で、Louisianaローカルの友人にも誉められました。

☆red kidney beans 2缶
☆ベーコン 厚切り2枚 (わたしはpepper smoke baconというまわりに黒胡椒のついたものを使います。150gくらい)
☆Andouille 1本 (またはチョリソーなど辛めのソーセージ。なければとにかくおいしそうな太いソーセージ。200gくらい)
☆たまねぎ 1個
☆セロリ 5茎
☆Green Bell Pepper (ピーマン)1つ
☆Red Bell Pepper  (パプリカ)1つ
☆にんにく 2かけ
☆トマト 1つ
☆スモークドパプリカパウダー  (なければ普通のパプリカまたはチリパウダー)大1-1.5
☆タイム 小1
☆Cajun seasoning 小2(わたしはTonny'sというブランドのものを使っていますが、手に入らなければCayenne pepper 小1にガーリックパウダー小1で代用してください)
☆Worcestershire sauce 小1.5 (日本ではウスターソースの名で売られているあれです。わたしはあれ、薄いからウスターなのかと思ってましたよ)
☆蜂蜜 小1.5
☆チキンブロス 500mm
☆炊いたごはん 適宜
☆Green onion(青ネギ)少々

①red kidney beansは缶から出して水ですすいでおく。
②にんにく、玉ねぎ、セロリは粗めのみじん切り。Bell Peppersは両方8mm角のダイスに。トマトも同様。ベーコン、ソーセージはそれぞれ1cm幅に切る。
③フライパンをよく熱して、ベーコンを炒める。炒めるというよりは己の脂で揚げ焼きにするように。かりっとするまで。ペーパータオルにあげて余計な脂をきる。
④フライパンには大さじ2くらいの脂が残っているので、一度火をとめてそのなかににんにくを入れ、弱火で熱する。香りがでたらたまねぎ、セロリのみじんぎりをよく炒める。軽く色づくまで、15分くらい。
⑤Bell Peppersを入れてさらに5−10分炒める。以前にも書いたがこの、たまねぎ、セロリ、ベルペッパー(ピーマン)をじっくり炒めたものがholy trinityと呼ばれる香味野菜の三位一体で、多くのCreole料理のベースである。塩こしょう(ガーリックソルト)、Cajun seasoning、パウダー、タイムを加えて炒めあわせる。
⑥お鍋に⑤の野菜と③のベーコンを移しておく。
⑦⑤の野菜を炒めたフライパンに(野菜のうまみがでているから洗わない)クッキングスプレーをして薄切りにしたソーセージを両面焼いていく。Andouilleは特に柔らかいので炒めると崩れてしまう(それはそれでひき肉みたいでおいしいのだけれど)。焼き上がったらお鍋に入れる。
⑧⑦のフライパンで①の豆を軽く炒め、お鍋に。最後にトマトも軽く炒める。
⑨鍋にひたひたになるくらいチキンブロスをいれ、1時間半ほど極弱火で煮込む。途中何度か灰汁をとって(灰汁をとるという発想はあまりアメリカにはないのか、どのレシピを見てもこの記述はないのだが、こういう料理だとつい灰汁をとりたくなる日本人の性)。
⑩水分がだいぶ少なくなったら、Worcestershire sauceと蜂蜜を加える。ソーセージの味によってだいぶ辛みに差が出るので辛くしたければcayenne pepperやCajun seasoningで調味。
⑪しばらく置いて味を馴染ませたら、炊いたごはんのうえにたっぷりかけて召し上がれ。仕上げにgreen onionを刻んだものを乗せると香りがさらにいいです。


というわけで、お豆レシピのエクストラバガンザであった。学期末にこれだけレシピをアップロードするわたしは筆まめなのかしら、豆だけに、うふふ。と思ったが、これをペーパーからの逃避と呼ばずしてなんと呼ぶ。とにかく学期の終わりまであと二週間をきったので、ふんどし締め直してラストスパート、がんばります。

2012年4月13日金曜日

プールサイドでメキシカン

日本で春休みといえば、春は名のみの風の寒さや、という歌がしっくりくる、柔らかい陽射しに包まれながらひんやりとした芯を残すあの空気が思い出されるのだけれど、Louisianaの春休みはというとこれが、春は名のみの灼熱の太陽、抱いて抱いて抱いてセニョリータなお天気なのである。四月だというのにスタジアムにいけばひとびとは半裸体、歩いているだけで汗がしたたるようなこんな暑い日はそう、なんだか水辺でさっぱりしたものが食べたいな。

アメリカ人は休みの前となると必ずといっていいほど休みのプランを訊ねあう。たとえふつうの週末であっても、週末はどうするの?というのが金曜の定番の会話だし、月曜になると週末はどうだった?となる。こちらに来たばかりのときはなんというか、この休みにかける意気込みというか、休みは休みで遊ばなければ人間失格、みたいなこの文化に違和感があったのだけれど(だって日本じゃ誰もそんなこと聞かないじゃないですか)、二年も経つと当たり前にこれにも慣れてきて、春休み直前ともなれば当然のごとくTA仲間(アラサー女子4人)とSpring Breakどうするぅ?という会話にもなる。とはいえこいそがしい大学院生どうし、さしてお互い予定がないのはわかっているし、4人が4人とも小脇に30本のペーパーを抱えているわけで、えぇ、どうせグレーディングとペーパー書きだよ、今年30になるから決意の大人黒ビキニ買ったのにさ、着る機会なんてないんだから、とむくれていたら、一番年上のAが、お嬢さんビキニ着れるのも今のうちだから、うちにおいでなさいな、みんなでプールサイドでグレーディングしながらマルガリータでも飲みましょうや、という。


日本で自宅にプールというと小室哲哉かよという感じ(繰り返すが今年30になるのでなんと言われても小室哲哉の例は譲らない)なわけだが、アメリカの南では家にプールがあるというのはそんなに珍しいことではない。わたしの住んでいるところははもちろんLSUの大学院生用の築50年という年季の入ったボロアパートなので当たり前にプールなどないのだけれど、月に700ドル程度のアパート(Baton Rougeは家賃が安いのでこれで2ベッドルームのアパートが普通に借りられる)にも共用スペースにそれなりのプールがついているし、教授の家に行けば大抵これもまたプールがある(ただし一戸建ての場合プールに水を入れる水代ももちろん個人負担となるので、おじいちゃんおばあちゃんの先生のうちのプールには水がはいっていないこともある)。今年35になる生粋のLouisiana娘Aは結婚してちいさな子供もいるのだけど、昨年ついにプールのついた家をSaint FrancisvilleというBaton Rougeから車で30分くらいの街に買った。子供がいなければプールに水を張るのもめんどうくさい(掃除がけっこう大変なんだそうだ)のだけど、3歳の娘はすでにビキニをねだるお年頃、せがまれてプール開きをしたのでせっかくだから遊びにきたら、ということなのである。もちろんいつものごとくグレーディングとは名ばかりの小規模なポットラックになるわけだけれど、こうも暑いと秋冬にパーティに持っていくような焼き物はとてもじゃないが喉を通らない。そんなわけで今回はさっぱりしてお酒のおつまみにもなるメキシカンな野菜料理(くどいようだがアラサー女子、わたし以外はベジタリアンである)を持っていくことにした。

日本ではメキシコ料理というのは案外人気がなくて、わたしも日本にいた時は新宿のサザンテラスのエルトリートくらいしかいったことがなかったのだけれど、アメリカではどこのスーパーにいってもトルティーヤやタコチップ、サルサにワカモーレが普通に売られているし、写真のメキシカンのファストフードチェーン、Taco BellはMcDonaldと同じくらいの人気である。肉、炭水化物、乳製品の三位一体からなるアメリカ料理とは対照的に豆と野菜をふんだんにつかったメキシカンはわりとお腹に優しくスパイスが効いて暑くても食が進むので、ベジタリアンにも人気である(PJの家に3ヶ月ほど住んでいたインド人留学生Nのインド人コミュニティ作成による「留学の手引き」には「アメリカのご飯を食べ続けていると病気になるので、インド料理が手に入らない時はメキシコ料理で我慢しましょう。」とまじめに書いてあってなんだか笑えた)。とはいえここは南部、アジア人だけでなくラティーノ人口も驚くほど少ない地域なので、メキシカンレストランはそこそこの数があるのだけれど、カリフォルニア生活の長いPJに言わせれば、食べながら涙がにじむほどに残念なお味だと言う。実際わたしも何度かメキシカンレストランに足を運んだのだけれど、うーん、なんというのだろう、何を食べても同じ味がするというか、味に深みもコクもなく、首をかしげて終わることが多かった(正直に告白するとTaco Bellがいちばんまともに思えるくらいだった)。

が、わたしのアメリカ的メキシコ料理に対する思いを決定的に変えたのが去年のNew Mexicoへの旅であった。夏になると暑さと湿気の苦手なPJはLouisianaにはとうていいられないので、数十冊の本と飼い犬のFootyを白いヴァン、その名もMoby(白い鯨のMoby Dickから)に乗せて、休みが始まるや一目散に南部を飛び出す。今年はNew Mexicoだよ!友達が旅行するんで 一ヶ月半くらいhouse sitをしてほしいって!と興奮する大きな図体の少年に、よかったねぇ、楽しんでおいでね、と言ったら、なに言ってんの、Maddieも来るんだよ、あたりまえでしょ。と言われて一瞬凍り付いたのだけど、なにはともあれアメリカ西部というのはアメリカ人作家達の見果てぬ夢の地であるので(もちろん当時ペーパーを書いていたWilla Catherもアメリカ西部に残るNative American文化に魅せられたひとりで、The Professor's HouseはNew Mexicoを巡る物語でもある)、研究者のはしくれとしてはアメリカにいる間にその地を訪れないわけにはいかない。緑深きLouisianaとは対照的な赤土の大地と鼻血がでるほどに極限まで乾燥した空気、Grand Canyon周辺での産まれて初めてのキャンプや写真のTaos PuebloというNative American reservation訪問など、この旅はほんとうに貴重な思い出をたくさんくれたのだけれど、中でも特筆すべきはメキシコ料理のおいしさだった(ええNew Mexicoですから)。「アメリカ料理」という言葉がどうもしっくりこないのはこういう風に、地方ごとにおいしいものがまったく違うからなのだけど、とにかくスーパーに何気なく置かれたサルサでさえもおいしく、最初は自分が食べているのがあの南部で食べたサルサと同じものだと気づかず、なにこれ超おいしいね、なんていう料理?といいながら冷蔵庫に入っていたサルサ一瓶を完食し、PJに爆笑された。以下のサルサのレシピはその瓶に書いてあった材料をさらにわたし好みに改良したもので、New Mexicoから帰ってから暑くなると必ず作り置きしているものです。

[基本のSalsaのレシピ]
☆トマト 大3個
☆レッドオニオン 大1/2個
☆シラントロー(香菜)の葉っぱ部分 片手に一握り
☆セラーノチリ 1個 (青唐辛子なのだけれど、手に入らなければもちろんハラペーニョでもよいし、それもなければタバスコ10ふりくらい。その場合は塩を控えめに)
☆コーン お好みで。入れなくてもいいけれど、入れると甘みが出てよい。
☆ライム 2個 (またはレモン1個)
☆クミン 小2 (なんといってもこれが決め手な気がする)
☆お酢 大1 (いつものとおりすし酢を使いますが、正統レシピではこれはいれません)
☆ケチャップ 大1(これも正統レシピではいれないのだけれど、入れるとコクが出るのでわたしはついつい使ってしまいます)
☆塩こしょう 好みで

①玉ねぎは細かいみじん切りにして、砂糖大1をまぶしてザルの上で空気にふれさせ、辛みを抜く(流水に浸してもよいのだけれど、水っぽくなるのがいやなのでわたしはこの方法を使っています)
②トマトは1cm角のダイスに。余計な水分を除いてボウルに。種を除くレシピが多いのだけれど、種にうまみがあると試してガッテンで聞いて以来、真偽のほどはわからないけれどなんとなくわたしは種を残しています。
③セラーノチリは種を除いて極細かいみじん切りにしてボウルに。チリを切った後の手で目をこすったり局部を触ったりすると悶絶することになるので調理後は死ぬほど石けんで洗ってください。
④シラントローも細かいみじん切り。コーン、辛みを抜いたオニオンと一緒にボウルに入れる。
⑤ボウルにライムの絞り汁、クミン、ケチャップ、お酢を入れ、ゴムベラで全体をよく混ぜる。塩こしょうで調味して出来上がり(わたしはどうしてもひと味足りない時は昆布茶を足します。トマトの質によるので)。そのままでもアペタイザーになるし、写真のトルティーヤチップス(トルティーヤを揚げた、あるいは焼いたチップス。要は濃い味のついていないドリトスです)と一緒に食べるとおいしいスナックに。

[Mango Salsaのレシピ]
サルサというのはいろいろなヴァリエーションがあるのだけれど、なかでもお気に入りはマンゴーを使った甘酸っぱいもの。これは魚料理とよくあうので、下味を着けた白身魚のソテーに乗せるととてもきれいだし、爽やかでとてもおいしいです。マンゴーが安売りしている時にはぜひ試してみてください。

☆マンゴー 3個から5個
☆レッドオニオン 1/2個
☆セラーノチリ  1個(これもハラペーニョまたはタバスコで代用可)
☆シラントロ ひとにぎり
☆パプリカ 1個 (トマトでも代用可。なければ抜いても大丈夫です)
☆ライム 2個 (またはレモン1個)
☆塩こしょう 好みで

①レッドオニオンは基本のサルサ同様、辛みを抜くためにみじん切り後砂糖をまぶしてザルの上で放置する。
②マンゴーはヘッジホッグ(ハリネズミ)のように切る。マンゴーを厚みの薄い方を正面にくるようにして立て、真ん中に平たい種があるので、それを避けるように両側を切りおとす。真ん中ができるだけ薄くなるように。
③切り取ったマンゴーにナイフで格子状に切れ目を入れる。皮を切らないように、でも下まで刃先が届くように。
④真ん中をぐっとおすと、写真のようにマンゴーの実が花開くので、ダイスになった果肉を皮からそぐように切り落とし、ボウルへ。
⑤チリペッパー、シラントロは極細かいみじん切り、パプリカないしトマトは8mm角のダイスにしてボウルへ。
⑥ライム果汁、塩こしょうで調味。けっこうきつめに塩こしょうをしたほうが甘みとのバランスがとれて食べ物にはあいます。わたしはここでも懲りずに昆布茶を使うことがあります。

[Fish Tacosのレシピ]
タコスというとぱりぱりと固いタコシェルにひき肉の炒めたのやレタス、ダイスにしたトマトを乗せて食べるのが主流で、それはそれでとてもおいしいのだけれど、今回はせっかく安売りのマンゴーでおいしいサルサを作ったので、魚を使ったタコスを作ってみた。タコス部分自体も、揚げたシェルではなくて素のままのトルティーヤをつかっているのでとてもヘルシーです。

☆白身魚(tilapiaやmahimahiなど。日本なら鱈とかなのかなぁ。こちらでは皮をはいだ白身魚がけっこう売っているのだけれど、考えてみたら日本だとあまり見ない気が…手に入らない場合は、鶏の胸肉などでもおいしくできるはず)500g
☆トルティーヤ 6枚(いわゆる「ラップサンド」で使われているあれです)
☆マンゴーサルサ 適宜
☆ロメインレタス 1株
☆レッドオニオン 1/2個
☆マリネード (ライムの絞り汁2個分、お酢大2、にんにくすりおろし2かけ、はちみつ小2、ライムの皮のすりおろし2個分、クミン小2、チリパウダー小1、塩こしょう小1.5、その他にコリアンダーなど好みのスパイスをいれたものを混ぜ、最後にオリーブオイル大2を入れてさらにまぜる)
☆ドレッシング (無脂肪のプレーンヨーグルト: 100g、 マヨネーズまたはベジネーズ: 100g、 クミン小1、カイエンペッパー小1/2、乾燥ディル小1.5、はちみつ小2、ライムの絞り汁1個ぶん、塩こしょう適宜、タバスコ適宜をまぜる)

①白身魚はキッチンペーパーで水分をとり、大きめのそぎ切りに。ぜんぶで12枚くらいになるように。
②マリネードの材料をあわせ、ジップロックにいれた魚にかけて空気を抜いて口を閉じたら6時間ほど置く。
③レタスは千切りにし、玉ねぎはごくごく薄い薄切りに。玉ねぎは冷水に5分ほどさらして辛みをぬき、しっかりと水気をとる。
④フライパンを熱し、トルティーヤを一枚ずつ焼いていく。とはいえ、市販のものはもう焼けいているので、温める程度。片面1分ずつ程度。テフロンなら油はいらないけれど、想でない場合はクッキングスプレー(スプレー缶に入ったオイル)を軽くふきかける。
⑤フライパンを熱し、マリネ液をよくきった魚を片面ずつ焼いていく。ほぐれやすい魚なので、こわれないように気をつける。そぎ切りにしているので火の通りは早い。蓋をして片面2分ほどで焼ける。
⑥トルティーヤに一枚ずつ、レタスの千切り、玉ねぎの薄切りを好みの量のせて、その上に白身魚ふたきれずつとマンゴーサルサを乗せ、最後にヨーグルトドレッシングをかける。全ての材料をテーブルに並べて、ひとりずつ食べるたびに自分で作った方がおいしいです。写真のものはさらにguacamoleというアボカドのディップ(アボカド二つをつぶし、そこに玉ねぎのみじん切り1/2個、トマトのみじん切り1/2個、チリのみじん切り1個をいれてライムの絞り汁1個分と塩こしょうで調味したもの)を合せていますが、これはなくても十分ボリュームがあります。

言うまでもなくプールサイドでのグレーディングはさしてはかどらず、アラサー女子はだらだらと子育てやら研究やらについて話しながらビールを片手にのんべんだらりと束の間の休みを過ごしたのだけれど、個人的に今回とてもよかったのはAの3歳になる娘とたくさん遊べたこと。これまで子供にはなんだか苦手意識があったのだけれど、写真のセクシーな三歳児はなぜかわたしをいたく気に入ってくれて、BeyonceのSingle Ladiesをわたしだけのためにといって踊りまくり、果てはわたしがグレーディングをしている膝の上で眠りこけてしまった。いますぐというわけにはいかなくても、こどもがいる人生というのもいいんじゃないかな、などとオレオで口の周りを黒くしながら寝息をたてる子供をひょいと肩に担いで家の中に連れて行くお母さんのAを見て思った夕暮れだった。ついでに、決意の大人黒ビキニは女子連に大好評だったのだが、「アジア人とは思えないケツ」「貧乳をおぎなってあまりあるケツ」「太平洋を超えたケツ」となぜか尻ばかりに対して惜しみない賛辞をもらった。ええ、なんと言われようとあと五年はビキニを着られるようにがんばります。

2012年3月15日木曜日

Turnip

アメリカに住んでいて食生活的に困ったことはこれまで幸いあまりなのだけど、日本で作っていたレシピノートのほとんどがこちらにきてあまり役に立たないのもまた事実である。それというのも日本食でよく使われる野菜の多くがアメリカ南部では手に入らないのだ。茸類に関して言えばmashroomやportobello(かなり大きくて肉厚なきのこ、グリルに最適)、oyster mashroom (舞茸のような見た目なのだけどかすかにたしかにオイスター的な香りがして、こりこりとした独特の食感。炒め物、煮物にするとかなり美味)などがあるし、しいたけも高くて薄っぺらいし香りがないがshiitake mashroomとしてWhole Foodsにはいちおう売っているのでまぁよいのだけれど、牛蒡や蓮根、筍、さやえんどう、普通サイズの茄子、普通サイズの胡瓜などなどに関してはどうにもよいものが手に入らない。食べなければ死ぬというほどのものではないし、郷に入れば郷に従えが信念のわたしとしては、まぁ他においしい野菜があるからいいじゃないの、と思ってかれこれ一年半になったわけだけれど、先日(というか冬休み)思わぬところで故郷の味を発見して、自分が日本の味にけっこう飢えていたのだということに気づいた。

写真の野菜はturnipとよばれる根菜である。わたしが初めてturnipという言葉を目にしたのはErskin Caldwellという作家の作品、Tabacco Roadを読んだ時だった。1932年に出版されたこの小説は大恐慌時の南部、Georgiaを舞台にいわゆるwhite trashと呼ばれる極限的に貧しい(そしてそれがゆえに教育も受けていない)白人の経済的にも感情的にもモラル的にも破綻した生活を描いた作品なのだが、その中で主人公のJeeter Lester(もしくはその父親、記憶はすでに曖昧である)が好物であるturnipを隣人宅から大量に盗んでそれを生のまま貪り食い、壮絶に腹を下すというシーンがあった。それ以来なんとなくturnip=下痢のもとというイメージが染み付いて、店で見てもおそろしやおそろしやと素通りしてきていたのだけれど、前述のMayo Clinicの料理本にturnipを使った料理が掲載されていたので先日勇気をだして買ってみた。皮を剥いて包丁を入れてみると、懐かしい香りが立ち上る。これは。まさしく日本の蕪ではないか。

これはいける、絶対いける、と確信してMayoのレシピを脇に措いて懐かしのレシピノートをひっぱりだして鶏ももと煮付けたら、白く美しい蕪の煮物ができた。しかも日本の蕪より固くしまって大きい(赤子の頭ほどもある)ので、煮くずれない。箸をいれて一口食べて感動した。うまい。味覚的ホームシックになることはないと思っていたのだが、turnip、いや蕪の煮付けを食べた瞬間、昔付き合っていた人のうちで彼がアルバイトから帰ってくるのを待ちながらうすら寒いアパートで料理をしていた神田川的思い出が奔流のように襲ってきた。なんというか、あの時はあの時でこの人と結婚するんだろうなとか考えていたのにもうあれから5年もたつのかと思うと、ただただしんみりと、人生ってわからないわね、と思うほかなく、しかしあまりのうまさに写真をとることなど思いもせずに完食した。また作ればいいやと思っていたら3月にして常に日中気温は30度近いBaton Rouge、煮物など食べる天気ではないので昨日はturnipを漬け物にしてみた。聖護院蕪に食感がそっくりなので、ほとんど千枚漬けだった。Baton Rougeで千枚漬けを食べることになるなんて。感動のあまり、以下レシピ。日本で興味を持たれた方は蕪で試してみてください。オリジナルレシピは蕪なので。

[とりと蕪の煮物]
☆かぶ/turnip 蕪なら一束、turnipなら1つ
☆鶏もも 一枚
☆酒 大1
☆片栗粉 大1/2
☆だし汁 250cc(わたしは茅野やだし、という顆粒だしを煮だしたものを使っていますが、水200ccに白だし50ccでも)
☆みりん 大2.5
☆しょうゆ 大1(あれば薄口)
☆塩 小さじ1/3
①かぶは茎を少し残して皮をむいて櫛切り(4等分)、面取り。Turnipの場合は皮をむいて半分に切ってから8等分くらいにする。
②とりももは一口大に切って、酒をふりかけ、手でよくもみ込む。片栗粉をふりかけ、さらにもみ込む。
③鍋にだし汁、みりん、醤油をいれ、煮立ったらとりを一つずついれる。くっつかないように箸でほぐす。
④鳥に火が入って色がかわったら蕪を加え、アルミホイルの落としぶた(中央を切る)、ふたをして中火で10分から15分。ゆず胡椒等を添えて召し上がれ。

[蕪/turnipの昆布茶漬け]
☆蕪 1ワ、turnipなら1つ
☆昆布茶 小さじ1
☆すし酢 30cc (なければ酢30cc、お砂糖大1/2、塩1/2に昆布の切れ端を入れて。)
☆七味 少々

①蕪、turnipは2mm程度のいちょう切りにする
②ビニール袋に蕪と昆布茶を入れてよく揉む。最初は蕪が壊れないようにやんわりと。少しすると水分がでて柔らかくなってくる。
③すし酢を加えてさらに揉み込み、1時間以上置く。仕上げに七味少々をふって。ちなみにこのお漬け物はけっこうどんな野菜でもできて、酢の物が欲しくなる春先にはとっても便利である。ズッキーニ(薄切り)、セロリ(皮を粗く剥いて斜めぎり)、レタス(適当にちぎる)はお気に入り。好みのドライハーブを入れても。

神田川生活が終わりを告げた時には芯まで冷えた洗い髪に凍えながら赤い手ぬぐいを食いしばったものだけれど、ほんとに人生ってわからないもので、今はやっぱり今が一番だと思えるのだ。だからいつか、もしもこの生活が終わっても、その時にはそれが一番だときっと思えると信じている。

おとうさんのラーメン

うかうかしているとまた半年たちそうなのでとりいそぎ小さなお話を。

以前にもすこし書いたけれどもこの冬は日本に帰らなかったかわりに、両親がこちらに来てくれた。さらりと両親が、などと書いてはみたが、なにしろうちの父と母は別居して20年近いので「両親」という主語を使って彼らの行動を描写するのはなんとも久しぶりでかつ不思議な気がする。しかもその久しぶりの二人行動に海外旅行を選ぶっていうのはあなたたちどれだけハードルあげれば気が済むの、とため息をつくばかりであったが、とにもかくにも三十路を目前にした娘であろうがなんだろうが子はかすがいということか、両親がルイジアナにやってきた。

彼らがやってきたその日、折悪しくNew OrleansはBCS National Championship Game という全米大学フットボールの頂上決戦で沸き返っていた。沸き返っていたというのは単なる修辞表現にとどまらず、French Quaterの狭い路地には人が溢れ、(いつものことだがいつにもまして)人々の熱気で蒸されたアルコールの匂いが立ちこめていた。それもそのはず今期LSUはランキングNo. 1、Championship Gameの相手は二位の宿敵Alabama(というのもLSUを二度優勝に導いた名将Nick Sabanが三年前Alabamaに移籍したのだ)なのである。日程的にどうしてもこの日にNew Orleansに滞在しなければならない両親はホテルをとるのにも一苦労、通常ふたりで130ドル程度の部屋が360ドルという有様だった。別居していた両親が初めて二人で海外旅行をする、娘の彼氏の顔を見に来る、わたしはいまだに車が運転できないので移動はPJに頼まなければ不可能(信じられないことにBaton Rouge-New Orleans間は車でたった一時間の距離だというのに公共交通機関がない。貨物列車しかない。)というそれだけで胃に穴が空くほどの条件が揃った中、さらに酔っぱらいでごった返した街で無事に両親を案内しなければならない。ハードルはすでに高飛びのバーほどに上がっている。ひと月前から緊張で吐くかと思うほどだった。

が、まぁ来てみれば両親は信じられないほど無邪気に初めてのアメリカを楽しんでくれた。とりわけ印象的だったのはいつもは感情をうまく出せない父親がわたしがどこかを案内したり料理を作ったりするたびに目尻をさげてうれしそうに笑うことだった。考えてみれば小さい頃父と旅行をすると、お父さんはいつもいつもわたしたち姉妹に出来る限りの経験をさせようと分単位で計画をたて、そのあまりの急がしさに母やわたしたちが愚痴を言うので、ゆっくりと自分が観光を楽しむことができなかったのだと思う。両親は英語を話せないので自然わたしが全てをやりくりすることになるのだけれど、わたしがお店の人と話をしたり道を尋ねたりするたびに、ありがとうありがとうと父は笑う。Preservation Hallに行ったら目をつぶって身体をゆらしながら、New Orleansでジャズを聞くのが夢だった、などというので、ずっとこんな風だったらきっと母と別れることもなかったろうなぁ、などと思っていたら、その夜ホテルのバーで、ずっと言えなかったけれど、お母さんとは離れて暮らさなければいけなくなったけれど、この人はわたしにとって誰よりもかけがえのない人なんだ、などと涙ぐみながら言うので、母と目を見合わせて笑うしかなかったのだけれど、もちろんいまこれを書きながらわたしは泣いている。

そんなわけでなんというか実りの多い四日間の弾丸滞在(母は税関で「日本から来てたった四日いるの!?日本人てほんとわけわかんない」と言われたらしい)だったのだけれど、わたしの手元には現在両親が移民のごとく大量に持ってきてくれた日本食が溢れている。ゆず胡椒だとか白だしだとかいろいろうれしいものはあったのだけれど、なんというかやっぱり涙のつぼは父のもってきた6袋のサッポロ一番である。母は、そんなもの思いもよらなかった、さすが男の一人暮らしね、などと冗談めかして言ってたし、わたしも普段はインスタントラーメンというのは食べないのだけれど、どうもこの袋をみていると、小さい時に父が作ってくれたラーメンを思い出してしまう。我が家は母の方針でめったにラーメンなどのいわゆるジャンクフードを食べなかったのだけれど、日曜の昼だけは別で、父はインスタントラーメンの上にたくさんのレンジでチンした野菜を乗っけてわたしと姉に食べさせてくれた。甘くなった玉ねぎやにんじんがどうにも好きにはなれなくてわたしはよく残してしまったのだけれど、不思議なものでいまでもあの日曜日のインスタントラーメンというのは今でもはっきりと味を思い出せる、わたしにとってのプルーストのマドレーヌなのである。

しかしなんというかやっぱりそのままラーメンとして食べることにするとなかなか機会がなさそうだなぁ、と思っていたら、在Baton Rouge日本人の奥さんがある日、こないだアメリカ人のPotluckにいったらAsian Slawなるものがだされていて、なになにAsian?と思って食べてみたらこれがびっくり、ラーメンを砕いたものをサラダに混ぜたものでおよそアジア人には思いつかないものだったんだけど、正直いってけっこうイけたのよね、うちでも何度か作っちゃった、と言っていたのでさっそくレシピを聞いて作ってみた。懐かしのミスター味っ子を彷彿とさせるゲテモノ感満載の料理ですが、なんというかあまりの簡単さとジャンクフード味がつぼにはまってわたしもかれこれ三度ほど作ってしまった。以下、レシピ。

[Asian Slawのレシピ]
☆インスタントラーメン 1袋
☆インスタントラーメン付属のスープ  1袋
☆キャベツ、レタス、人参などのシュレッド ボウルに山盛り(ロメインレタスなら2玉、キャベツならものによるけれど小さいものを1玉、これにコーンなどをプラスしてもよいし、アメリカならBroccoli Slaw Mixというブロッコリの茎を千切りにしたものが売っていて、これはけっこうよくあった)
☆すし酢 75cc (すし酢がなければお酢70ccにお砂糖大さじ1.5と塩小さじ1、あれば顆粒だし少々を加えて煮きるかあるいはレンジにかける)
☆胡麻油 大さじ1
☆五香粉 小さじ1弱(これは好みで)

①すし酢にスープのもと(と五香粉)をいれてかき混ぜ、溶かす
②①に胡麻油を加え、さらに混ぜる
③千切り野菜に②をかけ、よくトスしてまぜあわせる
④作り立てはラーメンがポリポリしていてクルトン的。一日置くとパスタサラダ的になる。

人生というのはよくわからないもので、これから自分がどこに住むことになるのかいまだにわからずに時に夜中に目が覚めてため息をつくこともある。が、お母さんのことは心配しなくていいから、自分の信じるとおりに生きなさい、お父さんは応援しているから、とぽつりと言ってくれた父の言葉を胸に、今日も曲がり道くねり道をゆっくりと踏みしめる。

2011年6月15日水曜日

PJ Withdrawal and Raspberry Chocolate Cake

例の二日酔い以降、なんとはなしに意気があがらない。PJと電話をして、夏風邪かもしんない、といったら、いやいやそれはPJ withdrawalだよ、と笑われた。Withdrawal というのは薬やアルコールなどに対する依存症のある人が急にそれらを摂取するのをやめた時に起こる離脱症状である。写真はMeth Withdrawal(Methというのはmethamphetamine。あれですね、のりPの)のページのものなわけだけど、たしかに最近わたしはこんな表情で机の前に座っていることがある。

PJ withdrawalというのは言い得て妙なものだ。たしかにBaton Rougeにきて10ヶ月(ここに来たのが8月の頭、初めてPJに会ったのが8月の半ばなので)、ほぼずっと隣にPJがいたわけで、学校の忙しさがピークのときなど、ほっといてちょうだいよ!という風にもなったわけだが、初めてこうやって離れてみると、わたしにとってBaton Rouge=PJだったんだなぁ、などとつくづく実感する。夏のBaton Rougeの暑さというのは想像を絶したもので、3月半ば以降長袖というものにはついぞご縁がないし、湿度は常に80%以上、しかも街の北部にはけっこうたくさんのchemical plantがあるのでBaton Rougeの空気は全米で1、2を争う汚さなのだが、湿気のせいでその空気の汚れがますます強く感じられる。友人等はBaton Rougeをthe filthiest town in the nationなどと罵るし、けっこう多くの人がこの暑さに耐えられず街を脱出する(アングロサクソンの人々の気温の感じ方は明らかに我々とは違うようで、たぶん体感温度が4から5℃くらい違う)。が、相変わらずわたしはこの暑さが大好きで、喫茶店の外の席であつーあつーと言って汗をかきながら読書に励んでいた…わけなのだが、ここ2日ほどはBaton Rougeなんてなにさ、もう知らない、みたいな気分なのだ。

それに加えて、いま書いている論文もまた思い切り暗い。Willa Catherはアメリカ南西部を舞台にしたMy AntoniaとかO Pioneers!で有名な20世紀初頭の作家なのだが、70年代以降(いやほんと60年代、70年代というのはこういう時代なんだな)レズビアンであることが「発見」されて、それ以来彼女の作品にはセクシュアリティ分析が大きなジャンルとして加わっている。しばしば問題とされるのは彼女が一貫して自分のセクシュアリティについて沈黙を守り続けていたことで、Catherが遺書の中で自分がこれまで書いた手紙の一切を後の研究者が引用することを禁じ、またgross indecency trialで裁かれたOscar Wildeを酷評したことなどから、彼女はある種のhomophobiaを内面化していたという風に論じられることが多い。

わたしが今扱っているThe Professor's Houseというのは1925年の作品なのだが、主人公のProfessor St. Peterは彼の死んだ生徒であるTom Outlandに対する尋常ならぬ思い入れとともに、小さな書斎に閉じこもって家族とのかかわりを断っている人物である。この書斎はどうみてもclosetだよね、という印象からわたしの論は始まっているのだけれど、ただしわたしはSt. Peterのセクシュアリティを抑圧されたhomosexualityとして捉えるのではなく、closetの中に閉じこもり、melancholicに失われた対象と同一化することで得られるある種のautoeroticismであると論じて、Catherのセクシュアリティに関する沈黙と彼女の"the thing not named" ("The Novel Démublé"という彼女のエッセイに出てくるフレーズで、これまたしばしば"The love that dare not speak its name" というhomosexualityのcodewordに結びつけられる)に対するこだわりを、20世紀のhomo/hetero binaryのディスコースと性解放のディスコースに参加することに対する抵抗として読んでいるわけだが、このmelencholia分析のおかげでわたしはいまちょっとばかり心理的にやられているのかもしれない。すべてのペーパーというのは自分にとってなんらかの意味でpersonalなものなわけで、だからこそ研究がやめられないのだから、ある意味ではこの状況を楽しんでいるといえば楽しんでいるのだけど。しかしなぁ。

***
そんなわけであまりずっと論文だけに係っていてもよくないな、と思い、ケーキを焼いてみた。気づけばチョイスはPJの大好きなRaspberry chocolate cake…ううむこの心理状況はPJの不在に関わるメランコリーだということなのだろうか。まぁ、そう考えたほうが気分がよいので、それはそれでよしとしよう。久々のうだうだポストだが、お味の方はばっちりなのでご安心を(実際これを食べたら少し元気になったので、いまからまたペーパーに戻れる)!ついでにこれと似たレシピでチョコスフレも作ったのだけど、それはまた今度紹介することに。

[Raspberry Chocolate Cakeのレシピ(18cm丸形)]
☆Raspberry 1パック(180gくらい。ケーキ用の120gとソース用の60gにわけておく。ちょうど季節なのでフレッシュを使ったが、冷凍でもいい)
☆製菓用チョコレート(カカオ分65%くらいのもの)180g
☆発酵バター 140g
☆グラニュー糖 145g(ケーキ用の50gとメレンゲ用の70gとソース用の25gにわけておく。めんどくさくてすみません)
☆小麦粉 20g
☆卵黄 60g (約4個分)
☆卵白 180g (約4個分:冷凍庫でまわりがすこし凍るくらい冷やしておくと安定したメレンゲになる)
☆レモン汁 小1

①チョコレートは刻んで(わたしが使っているのはすでに小さなチップになっているものなのでこの必要はなし)バターも小さくして溶けやすいようにする。
②ボウルに①を入れて、湯煎にかけて完全に溶かす。40℃くらいになったら火から下ろす。この間、型にオーブンペーパーを敷いておく。底は丸く切って敷き込み、まわりにはぐるっと巡らす。けっこうべったりくっつきがちなのでこれを怠ると型から抜けない。
③グラニュー糖50gを入れてよく混ぜる。その後卵黄、またよく混ぜる。さらに小麦粉をふるい入れて、またよく混ぜる。このあたりは手早く。
④メレンゲをしっかりめに立てる。卵白に70gのグラニュー糖のうちひとつまみを加えてハンドミキサーの高速で泡立てる。しっかり泡立ったら(いわゆる「お辞儀をするくらい」の固さ)残りの70gを3回にわけて入れて、その都度しっかり泡立てて、最後に低速できめを整える。最終的にはすこしすくいあげて逆さにした時に落ちてこないくらいの固さにする。
⑤③に④とラズベリー120gを加え、ゴムベラでさっくりと混ぜ合わせていく。色が均一になったらOK。
⑥用意した型に⑤をゆっくりと入れる。180℃で45分から50分焼いて、冷めたら型から出す。チョコレート系のお菓子全般に言えることだけれど、焼いた当日は味が馴染まないのであまり美味しくありません。翌日ないし翌々日にめしあがれ。
⑦そのままでもよいのだけれど、ソースをかけるともっと美味しい。ソースは小鍋にラズベリー60gと砂糖25g(要はベリーの40%の砂糖ということ)をいれて軽く混ぜ合わせ、弱火にかけてコトコト約5分(ベリーの形を残したい場合は煮ている間あまり混ぜないこと。水分が自然に出てくるので焦げることはない)。様子をみていい感じになっていたら最後にレモンを加える。生クリームを泡立ててそこにたらしてケーキと一緒に食べればさらに美味しいし、アイスやヨーグルトにかけて食べてもおいしい。ちなみにブルーベリーでも同じ要領で作れます。

BRを発つまで残りあとわずかなのであまった生クリームを使う暇もないかな、と思い、おそるおそる写真のスプレー缶入りのクリームを使ってみた。添加物などを気にする向きの方々にはおすすめできないけれど(実際賞味期限の長さにどん引きしなくもない…)いやはや簡単便利に負けました。いつもコーヒーショップとかで店員さんがもしゃーっとフラペチーノ的なものにかけるのをみて興味津々だったのが(ちなみにSt. Augustineで食べたKey lime pieの写真のクリームもこれだったし、テレビドラマなんかで女の子達が夜中にこれをそのまま缶から飲むように食べるのも目にする。もちろんポルノでは…あとは説明は不要ですね)、使ってみるとバラの口金で絞ったようなクリームが簡単に出せてしまうのでちょっと感動した。いや身体に悪そうだけどさ、まぁアメリカーナの醍醐味ということで一度くらいはね。さあ土曜日にはこちらを出発してLAだ!がんばるぞ!

※追記※
出発前に冷蔵庫の野菜を全部食べなければいけないので、さて大量のromaine lettuce(こっちではこれがとても安い。3個パックで$2くらい)をどうやって食べようかなと思い、シンプルなレタスのサラダを作ってみた。ただちぎって市販のドレッシングをかけたり、茹でてオイスターソースとマヨネーズで和えたりと、いろいろ食べ方はあって、どれも手軽でお気に入りなのだけど、この食べ方も簡単でけっこうおいしかったので、覚え書き。もちろん普通のレタスやキャベツなどでもできますが、それぞれひとつ使うとromaineよりだいぶ葉っぱの分量が増えるので、様子をみながら加減してください。いつものサラダレシピのとおり、材料と分量は適当なので、とにかく手近にあるもので。

[Simple romaine lettuce salad]
☆romaine lettuce 1株
☆ミックスナッツ 大2
☆パルメザンチーズ 大1弱
☆オイル 小1弱(好みのオイルで。わたしは胡麻油をよく使います)
☆砂糖 小1
☆塩 小1/2 (これも好みのお塩で。わたしはガーリックソルトを使います)
☆酢 小1(くどいですが好みのお酢で。レモン汁でもいいし、ワインビネガーやバルサミコでもいけます。わたしは味をみながら何種類か混ぜます。)
☆黒こしょう 少々

①レタスは粗めの千切りにする。
②レタスをオイルで和える。トスするように。
③お砂糖を全体にまぶして、またトス。
④塩、酢、胡椒、パルメザンをそれぞれまぶしてトスの繰り返し。
⑤ミックスナッツを粗く刻んで最後にぱらりと。

ポーチドエッグを乗せておいしくないわけがないよね、ということでこちらもご紹介。ポーチドエッグは見た目によらず簡単で、たっぷりめのお湯をぐつぐつ湧かしてお酢を小さじ1くらい入れて火を弱め、お玉でうずを作った中にお椀等に割った卵をそっと流し込んで、お箸等で白身の広がりを抑えて2分半。またはマグカップにお水(1cmくらい)とお酢少々を入れた中に卵を静かに割り落とし、爆発防止に黄身に竹串などで穴をあけてレンジで約50秒。写真はレンジバージョン(お湯で作った方が白身と黄身の食感のコントラストが楽しめます)。

あとは、そうだな、お砂糖を少し控えめにしてドライクランベリーを刻んで入れたのもおいしかった。なんといってもベリー、ナッツ、チーズの組み合わせは最強なのだ。ちなみに写真の木のボウルは日本のもので、そのままボウルで和えてテーブルに出せるのでお気に入り。日本に帰ったらまた木の器を買おう、そうしよう。料理というのは不思議なもので、なんだかんだでいろいろ作って食べてたら元気が回復して、無事に書き直しの第一稿が出発前に仕上がりそうだ(というかいっそ単に栄養が足りてなかっただけかもしれない気すらしてきた)。

2011年5月31日火曜日

Memorial Day and BBQ

我々大学院生にとってはもう2週間ほど前に夏休みは始まっているのだけれど、多くのアメリカ人にとって「夏休み」シーズンの始まりを告げるのが5月最終週の月曜日、Memorial Dayである。なんのmemorial?というと、うーん、war memorialだね、という答えが返ってきて、なんのwar?というと、うーん、そうだなぁ、最初は南北戦争だったらしいけど、いまはだいたい全部の戦争かなぁ、ということ。なんだか歯切れの悪い返事だが、つまるところ、もともとは戦死者を弔う日だったようだけれど、いまは定義もゆるんで、戦争にいったかどうかに関わらずお墓参りにいったり、久々に家族で会ったり、三連休なので旅行に行ったり、とりあえずアメリカ万歳、夏休み万歳、とみんなで盛り上がる日のようである。アメリカと夏休みを祝うためにかかせないものといえば、そう、バーベキューである。そんなわけでルイジアナの灼熱の太陽のもと(ちなみに日中は100°F、つまり40℃近いわけだったのだが)、自分が焼豚になるのではないかとくらくらしながら肉を貪り食ってきた。

アメリカといえばバーベキュー、バーベキューといえばアメリカ、というほどにBBQはアメリカ精神の源なのであるが、日本でいうところのバーベキューとこちらのバーベキューは少しばかりおもむきが違う。日本でバーベキューというと炭火で直火焼きをするイメージかと思うのだけれど、アメリカではその料理法はgrillingないしbroilingと呼ばれる。それではberbecueとはなにを指すかというと、高温の煙でじっくりと燻すような料理法なのであった(写真の全アメリカ人必携のBBQセットは、上の蓋をカパンと閉じて蒸し焼きにするようにできている)。もともとはSpainの入植者達がアメリカに豚を持ち込み、初めて豚を目にした南部のネイティブ・アメリカン達がそれをこの料理法で調理した、というのがberbecueの発祥らしく(ただしberbecueの語源であるbarbacoaという言葉はカリブ海地域のTaino族と呼ばれる人々の言語で「聖なる竃」を意味する)、berbecueは今でも南部のシンボリックな料理のひとつに数えられる。

基本的にはこの炉によるslow cookingの方法を総じてberbecueと呼ぶので、なにも多摩川河川敷でなくても室内でやったってberbecueはberbecueなのである。そんなわけでアメリカ全土、特に南部では犬も歩けばというほどにBBQレストランに遭遇する。日本の焼き肉屋さん(ただし調理済み)に相当すると考えればいいくらいだと思うのだが、値段は断然お手頃。ちなみにわたしの近所にはVoodoo Berbequeといういかにもルイジアナな名前のレストランがあり、見た目は超がつくほど怪しいのだが、安いしお肉はほろほろだし、今思い出して思わず生唾を飲んだくらいおいしい(が、いかんせんわたしの脆弱な腸では消化しきれないので、3ヶ月に一度くらいしかいけないのが残念なところ)。それから特筆すべきはソースで、日本でバーベキューソースというとあのケチャップとウスターソースを混ぜたような甘いたれが即座に連想されると思うのだが、どっこいこちらのバーベキューは土地によって味付けが違う(焼く肉の種類も違う)。North Carolina出身の男の子が言うことには彼の地元ではvinegarベースのマリネードに豚肉を漬け込んで、丸一日かけて焼く(というか燻すというか)らしいし、LouisianaではいつものごとくCajunスタイルのスパイシーなソースが定番である。

さてそれでは先日のBBQはどうだったかというと、どっこいこれがLouisiana風ではなかった。PJの新しいroommateであるgeekなDくんは以前も書いたかもしれないが高校生の時にコックになりたくてレストランでシェフについてふた夏じっくり料理を習った(その後Faulknerに出会い、自分はFaulknerの生まれ変わりだと確信して今に至るわけだが…しかしFaulknerの生まれ変わりはいったい何人いるんだろう、日米問わず)という強者で、普段は料理はあまりしないのだが、こういう機会になると俄然本領を発揮してくれる。上の写真にあるようなおしゃれなミニケバブ(ミニトマト、紫玉ねぎ、パプリカとチキンを一晩マリネードしたもの)とアスパラのベーコン巻き(アスパラ5本くらいずつを二枚のベーコンで巻いて、これも一晩マリネードしたもの)に始まり、牛ひき肉にブルーチーズ、ペッパーを練り込んだ小さなパテをグリルして挟んだミニバーガー(これはPJが作った)、それに立派なシャトーブリアン(さすが肉食系女子、Hが「Farmer's marketで買ってきた。24時間前まで生きてたんだって♥」といって買ってきてくれた)に焼きとうもろこし、と実に多種多彩だった。

わたしは毎度のごとくデザート担当で、今回はLouisiana産のブルーベリーが手に入ったので前回のタルト生地のあまりでブルーベリータルト、それからラズベリーが安かったのでマフィンカップでラズベリー入りのガトーショコラを焼いてクリームとブルーベリーソースで飾り、中心部のくぼみにバニラアイスとラズベリーソースを落としたものを作ったのだが、結局自分のデザートに辿り着く前に完全に腹が膨れてしまい、食べずじまいだった。みんなが帰った後でゆっくり食べようと思ったら会がお開きになる頃には両方とも見事に全部なくなっていて、アメリカ人の健啖さにまたも舌をまいた。タルトはホールだったし、ガトーショコラは10人だったので予備を含めて15個焼いたはずなんだけど。いや、もちろんうれしかったんだけど。それに焼いた後に味見はしたからいいんだけど。仕方ないので深夜に余ったバニラアイスにラズベリーソースとブルーベリーソース(どちらもものすごく簡単、小鍋にお砂糖とベリーを入れて少し煮立てて、最後にレモン汁を加えるだけ)をかけて、red, blue, and whiteでひとりアメリカ祭りをした。


***
そうなのだ、なにしろ今回はMemorial Day。フランボワーズ・ガトーショコラなどというフレンチかぶれた料理ではなく、これまたアメリカの魂のふるさと、ポテトサラダのレシピを紹介しようと思う。これはPJが教えてくれたのだけど、日本でいままでわたしが作っていたポテトサラダより格段においしかったので、覚え書き。

[PJのアメリカン・ポテトサラダ]
☆ジャガイモ 中6個(大なら4個。こちらではred potatoというのが小ぶりでおいしいので今回はそれを6個使った。)
☆新玉ねぎ 1個(普通の玉ねぎでも可。こちらではsweet onionというものがあるのでそれを使った)
☆Serrano pepper 1個 (青くて小さい唐辛子、なくても可…何で置き換えられるだろう?)
☆にんにく 1かけ
☆Vegenaise  大さじ4から6(vegetarian用のマヨネーズで、卵は使っていないのでカロリーも控えめ。こちらでは普通に売っているのだけど、材料も下に書いておいた)

①ジャガイモは8等分にして、大きなお鍋で水から茹でる。(red potatoは皮が柔らかいので剥かなかったし、基本的に皮は剥かない方がなんでも美味しいと思うのだけど、気になる場合はもちろん剥いても。)
②新玉ねぎはスライス。Serrano pepperもスライス。にんにくは潰してみじんぎり。
③フライパンにオイル(適量)とにんにくを入れて火をつける。じゅわじゅわとにんにくの香りがしてきたらSerrano pepper、新玉ねぎも投入。とにかくここでじっくり炒めること。基本的にそんなに触らなくてよい。焦げ付きに注意しながらたまに混ぜる程度で放置。飴色とまでいかなくても、きれいなきつね色になるまで。その間に他の料理を作っているといい。
④だいたいジャガイモのゆで上がりと③の完成が20分から30分と同じくらいなので、ジャガイモを茹でこぼしてよく水をきり、ボウルに入れて③とあわせる。
⑤ここで塩、こしょう、そしていつもすいません秘密のCajun spiceを好きなだけ(なければないで、チリペッパーとかキッチンの棚の奥に眠ってるいろんなスパイスを使ってあげてください)。ざっとあわせる。途中でじゃがいもが少しずつ潰れてくるが、日本のポテトサラダのように完全にマッシュはしない。
⑥Vegenaise、それからマスタードを味を見ながら加えて、さらに混ぜる。ここでディルやローズマリーなどのハーブがあれば入れる。温かいうちでもおいしいけれど、やっぱり冷やすともっとおいしい。

[vegan mayonnaise]
☆豆乳 1カップ
☆レモンの絞り汁 大さじ4 (大きめのレモン1個半くらい。あるいは同量の果実酢)
☆塩 小さじ1/2
☆粉末パプリカ 小さじ1/2
☆マスタード 小さじ1/2
☆蜂蜜 小さじ1/2
☆オリーブオイル カップ1/2

①オイル以外をブレンダーにかける。一番低速で。
②混ざったら、オイルをほとんど一滴一滴といってもいいくらいゆっくりと加える。その間もブレンダーは低速。でないと分離してしまう。
③だんだんとろみがついて、滑らかになるまでブレンダーで混ぜ続ける。冷蔵保存。

ほかにも豆腐をつかったレシピなどもあるけれど、これが一番簡単でお手軽なレシピのようだ。当然だけど普通のマヨネーズよりあっさりしていて、わたしはけっこう好きなのだった。ちなみにveganというのはvegetarianのさらに厳格なもので、お肉や魚はもちろんのこと、チーズ、バターなどの乳製品も使わない。PJはDが超してくる前、vegetarianのAとveganのMと暮らしていたのだが、お肉をむさむさほおばっていると二人から「…野蛮っ!」みたいな目で見られるのがちょっと辛かったらしく、お肉隊長のDと一緒に暮らすことになってほくほくである。ううむ、お腹のぽっこりがちょっと心配。

※追記※
先日、Tennesseeに行ってきた友人がMemphis特産のBBQソースを買ってきてくれた。このソースを使ってPJがBerbecue Chiken and Wild Riceというのを作ってくれて、いつもながらシンプルでとてもおいしかったので、覚え書きレシピを追加で書いておこう。

[Barbecue Chicken and Wild Riceのレシピ]
☆玉ねぎ 1個
☆ズッキーニ 2から3本
☆オクラ 2から3パック (ちなみにokraは南部料理に欠かせない野菜なので、こちらではとても安いし、冷凍でもたくさん売っている。中でも人気なのはfried okraなのだけど、この料理はまたいつか他の機会に)
☆鶏もも肉 1枚
☆ワイルドライス(玄米)1カップ
☆BBQソース 適宜(大さじ4くらい)
☆Creole spice (なければいつものようにパプリカ、ガーリックペッパー等で代用可)
☆塩こしょう

①玉ねぎはみじん切り、オクラは軽く湯がいて厚めの輪切り、ズッキーニも厚め(8mmくらい)のいちょう切りにする。鶏ももは一口大にして塩こしょう、酒をふっておく。
②ワイルドライスを洗って、鍋に水2カップとともに入れ、火にかける。沸騰したら弱火にして、ワイルドライスが水分を全て吸うまで(ちなみにこちらではごはんを炊く時はみなこうしたやり方になる。もちろん炊飯器で普通に炊いてもいいのだけれど、これはこれでアルデンテの粒パスタのように仕上がるのでこういう料理には向いている)。
③フライパンをよく熱して、オリーブオイルで玉ねぎをじっくり炒め、きつね色になってきたら(約15分弱)ズッキーニも加えて、さらに炒める。ズッキーニがしんなりしてきたら(3分弱)オクラも加え、さらに約2分ほど炒める。塩こしょう、クレオールスパイスで軽く味付け。ただし後でBBQソースを投入するので、そんなに濃い味にしなくてもOK。
④野菜を一度お皿に取り出しておいて、同じフライパンに少しオイルを足して十分にオイルが熱したら鶏肉を炒める。野菜のうまみを鶏に絡めるように。
⑤鶏肉に火が通ったら野菜を戻し、あわせて炒める。
⑥BBQソースを加えてさらに混ぜ合わせる。ワイルドライスを加えて炒めあわせてもいいし、別添えにして食べてもいい。所用時間、約30分。

2011年5月3日火曜日

Quinoa Salad

最近料理の話が続いているけど、でもやっぱり学期末である。ただでさえニコレットの量が増え(最近は普通のガムに切り替えようとしていて、orbit whiteという固めのガムも噛んでいるのだけど、締め切り前の2日でボトルひとつ、60粒を消費してしまい、あごが痛い)少し気を抜いてごはんを食べるのを忘れたりしていると体調を崩すので、健康管理の為に短時間で作れる野菜料理を模索中である。

Wholefoodsというのは全米展開している少しお高めのスーパー(日本で言うところの紀伊国屋とか成城石井とかの雰囲気)なのだけど、家賃が光熱費込みで$560の古アパートに住んでいるわたしである、食材くらいちょっと贅沢してもばちはあたるまい。ほんとうを言えばいくらオーガニックとはいえ、Wholefoodsの野菜はそんなに回転がよくないからかしばしば新鮮さにかけることがあるので、少し離れたところにあるSouthside Produceという八百屋さん(吹きさらしのバラックで大量に野菜が売られているのだが、地産ものがメインで自家製のグラノーラや冷凍野菜も売っている。そして驚くほど安い)のほうがいいのだが、人の車で買い物に連れて行って貰っている身なのであまりわがままは言いません。

しかしWholefoodsのいいとことはWalmartとかだと手に入りにくい少し変わった健康食材がたくさん売っているところで(チーズとか肉類もいいんだけど)、特に穀物の類の品揃えは感動的である。Bulkというコーナーにはなんと形容すればよいのか、ありとあらゆる種類の穀類とか粉類が並んでいて、取っ手をひくとザーッと袋のなかに落ちてくる仕組みで、好みの分量を買うことができる。これまではよくクスクス(couscous)をここで買ってそれでサラダを作ったりあるいはチキンとトマトソースで炊いて炊き込みごはんみたいにして食べたりしていたのだけど、先日友人宅でクスクスサラダ的なものを食べたらものすごく食感がよくて、え、なにこのクスクス超おいしいね、と言ったらこれはクスクスではなくてキヌア(quinoa)だよ、と教えてくれた。

クスクスとキヌアは見た目が見ていて、両方ちいさなちいさな粒なのだけど、クスクスはああ見えて実はパスタの一種だそうで、粗挽きの小麦粉を丸めて作っているとのこと。一方のキヌアは南米産の穀物(というか種)で、茹でていると小さな芽がぴょこんと出てくる。キヌアは栄養価が高いことで有名で、お米などに比べると炭水化物率が低いかわりにアミノ酸が豊富、NASA認定の理想宇宙食、21世紀の穀物と呼ばれているらしい。ふむふむ、体によいしおいしいし、レシピを聞かない手はない。そんなわけで以下、覚え書き。

[材料]
☆quinoa(1カップ)
☆vegetable broth(1.7カップ)
(なければ水でも可。わたしはブロスがないときは玉ねぎスープのもとを溶かしている)
☆cucumber(1本)
☆green onion(1束弱、6本くらい。前にも書いたけど、日本の青ネギみたい)
☆pine nuts(1握り)
☆roasted red pepper (瓶詰め、4枚くらい。なければ普通のred pepper、パプリカでも )
☆lemon (1個)
☆cilantro(半束くらい、シャンツァイとか香菜とかコリアンダーとか、いろんな名前があるけどこちらではこう呼ぶ)
☆olive oil, salt and pepper

①quinoaを茹でる(というか炊くというか)。お鍋に軽く洗ったquinoaとbrothを入れて、煮立ったら弱火にする。クスクスでもそうなのだけど、だいたいキヌア/クスクス1に対して水分1.7から1.8が基本。コトコト、水分を全てquinoaが吸うまで。だいたい20分くらい。たまに混ぜながら、水分量をチェックする。
②その間にきゅうり(ダイス)とroasted red pepper(小さな色紙切り)green onion(粗みじん)cilantro(粗みじん)を用意する。レモンも絞っておく。
③フライパンにオリーブオイルを熱して、green onionを2、3分間炒める。ボウルに出しておく。余ったオイルで松の実を軽く色づくまで炒る。
④茹であがったquinuaと②と③をあわせる。味をみながらレモンジュースで水分を与えていく。塩こしょうで調味。あとはゆっくり冷やして味がなじんだら食べられる。

これまた簡単簡単でうまうまである。今日はcilantroがなかったので、かわりに冷凍の枝豆とコーン(Southside Produceのもので、なかなかおいしい。ちなみにquinoaの熱で室温くらいになるので個別に解凍する必要はなし)をたっぷり入れて、それからあまり酸っぱいと胃が心配だったので、ワインビネガーに砂糖と塩とマスタード(Louisiana名物のCreole Mastardというちょっとスパイシーでコクのあるマスタード)と少量のオリーブオイルを加えたもので和えてみた。最後のペーパーの締め切りまであと10日、その後はLA旅行と、そして里帰りが待っている。ほほほい、がんばります。

2011年4月21日木曜日

Pasta Salad

いつも写真を撮るのを忘れてしまうのでこの写真はネット上のものなのだけど、Orange Beachに行ってから、Pasta Saladにはまっている。

一緒にいった友人のひとりがベジタリアンで、よくいろいろサラダレシピを教えてくれるのだけど、今回は小腹が空いた時にちょこちょこ食べられるようにこれを大量に作ってくれた。とても手軽だし、腹持ちもいいし、野菜も炭水化物も適度にとれるし、なにせ夏向きでおいしいので覚え書き。

分量はとにかく「適当」である。好みのショートパスタ(写真のフジッリが基本のようだけど、この間は家にあったコンキリエ(貝のかたちのやつ)で作ったし、今日はマカロニしかなかったからそれで作ったけどどっちもおいしかった)を大目に塩をいれたたっぷりのお湯でゆでる。わたしは一人暮らしなので100グラム強くらい。これで3日くらいもってしまう。

お湯を湧かしている間にドレッシングを作る。これもほんとに適当。こちらはバルサミコが日本よりやすいのでバルサミコを大さじ3くらいに普通のお酢(すし酢みたいなののほうがわたしは好み)を大さじ1くらい、そこにおろしにんにく(ひとかけ)、さとう(小1)、塩(小1)、好みのハーブ、あとはわたしは昆布茶などをいれて、よく混ぜる。混ざったらオリーブオイルを大1くらい加えて、さらに混ぜる。

この辺でだいたいお湯がわくので、パスタを投入。あとは10分くらいだから、このあいだに野菜を切る。トマト(大きいものなら1個分をダイスに、ミニトマトなら1パックを半分に切る)、ズッキーニ(またはきゅうり、これもダイスに)、黄色いパプリカ(1個を色紙切り)、セロリ(1、2茎を皮を剥いてスライス)、それからグリーンオニオン(日本なら分葱みたいなねぎ、細切り)にあとはミックスナッツ(形が残るくらい粗めに刻む)。これを切ったはしからドレッシングのボウルに加えていく。ミックスナッツがなかったらアーモンドだけでもいいし、でもとにかくこのナッツをいれることでおいしさが増す気がする。オリーブを輪切りにして入れてもおいしそうだけど、バルサミコベースでないドレッシングのほうがあうかもしれない。ドライトマトのみじんぎりもよさそう。友人のレシピではブロッコリーが入っていた。

あとは茹だったパスタをよくお湯を切って加えて、全体を混ぜて好みの味に調節してゆくだけ。友人のレシピではフェタチーズを加えてたけど、うちにはフェタがないのでパルミジャーノを加えたり、あとは低カロリーのマヨネーズを少しだけ最後に絡めたり。乳製品を少し加えるとまとまりがいい。作ったその日より、冷蔵庫で一晩寝かせた方が味が馴染んでおいしい。

お湯をわかしてから出来上がるまで、15分強。忙しい大学院生にはもってこいの栄養バランスのとれたお食事です。今日はペーパーに追われてまったく家を出なかったので、パスタサラダとハマス(セロリと人参につけて食べる)がごはん。ベジタリアンではまったくなくて、相変わらずCane'sというルイジアナ発のフライドチキン(ただし中身はササミ。でもまったく低カロリーではなくて、大量のフレンチフライにさらに揚げパンまでついてくる)やらFive Guys(これも南部発のハンバーガーチェーン。とにかく お い し い)やら食べているのだけど、せめて動かない日くらいは健康食でね。しかしながらそれにしてもわたしの知っているアメリカ人はほぼ全員料理がうまい。わたしより全然うまい。Geekな彼はコックになる修行をしていたらしく、アメリカで食べた中で一番完璧なミディアムレアのステーキ(最初はフライパンを使うのだけど、最後にオーブンに入れるのがコツらしい)やら、shrimp and scallop scampiのカッペリーニ添えやらを作ってくれた。しかも同時にベジタリアンの彼にはvegetable medleyを作っていた。「アメリカ人は料理の感覚がおかしい」というcultural stereotypeは完全に崩れ去った。

※追記※
素敵女子H(Double Dateの項目を参照)は実は相当な美食家で、プロ級に料理がうまい。先日彼女が新しいパスタサラダのレシピを教えてくれて、それがとてもおいしかったので、覚え書き的にレシピを書いておきます。

[Zucchini Pasta Salad]
☆好みのショートパスタ 1カップ
☆ズッキーニ 2本
☆slivered almond 1/2カップ(日本でこういう形状のアーモンドをあまり見たことがないのだけど、なければ普通のアーモンドを粗みじんにしたもの、あるいはスライスアーモンドでもOK。ただしslivered almondは湿りにくくてこういうパスタには向いている)
☆エクストラヴァージンオリーブオイル 大2 (もとレシピは大5なのだけど、わたしはあまり油が多くないほうが好きなので大幅に減らしている)
☆果実酢 大3(もとレシピはレモン果汁ひとつ分なのだけど、わたしはあまり酸っぱすぎるのが得意ではないので、すし酢や果実酢を合せている)
☆フェタチーズ、シュレッデッドパルメザンなど、好みのチーズ あわせて大4くらい

①ズッキーニは縦2等分してスライサーでとにかく薄くスライス(つまり半月のスライス、こちらではcarpaccio styleと言うそうな)。塩小さじ1を加えて混ぜ合わせ、そのままざるなどに載せて20分放置。かなり水分が出てくるが、自然に水が切れる程度で、絞らなくても可(わたしはごく軽く絞っている)。
②パスタを茹でる。くどいようだが、お塩はたっぷり(お湯が軽く塩味になるくらい)。茹であがったらざるにあげて少しオリーブオイルを絡めておく。
③アーモンドをフライパンでから煎りする。すこし色づくまで。スライスの場合はこげやすいので注意。
④オイルと酢をよく泡立て器で混ぜ合わせる。
⑤ズッキーニ、アーモンド、チーズを合わせる。
⑥パスタを投入。塩こしょうでややきっちりめに味付け(サラダの場合はオイル系ドレッシング冷やすと少し味が薄く感じられるので、ややきっちりめの味付けが基本)。④のドレッシングを合わせて、よく冷やす。

2010年9月6日月曜日

ポン酢愛


今日はlabor dayということで学校はおやすみである。ひと泳ぎしようと思ってジムに行ったら休みだったので、しょうがねぇなぁとUniversity Lakeの周り(徒歩で一周1時間強)を散歩していたら突然の雷雨に見舞われる。雨宿りする場所もなく、ずぶぬれのぬれねずみで家に帰る。とんだホリデーだ。勉強しろってことですね。

と家で本を読んでいたら知人のK先生から電話があり、昨日釣りに行ったのでお魚いかがですか、とのこと。もちろんありがたく受け取る。アメリカの食生活に文句を垂れまくるビッチ(ちなみにbitchという言葉は「文句を言う」という意味で動詞的にも使われる)にはなりたくない、というのが信条のわたしは一人暮らしのお料理生活をけっこう楽しんでおり、毎日一汁三菜を実践しているのであった(勉強もしてるよ)。だいたいLouisianaは食文化が豊かなのでこれを学ばない手はない。Redbeans and Rice とかGumboとか、ほんとにおいしい。しかし唯一アメリカ(いやBaton Rouge)に文句を言いたいところがあるとすれば、魚がない、ということなのだ。Walmartとかだとまずお魚コーナーがないし、それでもWhole Foodsにいけばある程度は買えるのだけど、どうも新鮮さに欠ける。Gulfがこんなに近いのに。Oil Spillのせいだけではなく、こちらの人はどうもそんなにお魚は食べないようだ。Catfish(ナマズ)のフライはよく食べるみたいなんだけど。あと寿司屋もけっこう流行ってるんだけど。

まぁそんなわけでしばらく家庭でお魚を食べていなかったので、目の前のRedfishなる白身の魚にうち震える。しかもけっこうな量がある。とれたてなのでお刺身でも食べられるわよ、とK夫人がおっしゃるので、さてほくほくしながら刺身で食べようとする。が、ワサビがない。オリエンタルフードマーケットは遥か遠くだしlabor dayで休みだし。醤油だけで食べてみたらやはりちょっと独特の臭みが気になる。なんとかいい方法はないものか。そうだ、ポン酢と薬味で食べよう。

もともとわたしはポン酢に対して異様な愛着がある。大抵の刺身やら寿司やらは(邪道だといわれようが)ポン酢で食べていた。醤油だとどうも塩味が濃すぎる気がするのだ。しかし普通のいわゆる「ポン酢」は酢がきつい。そこで日本にいるときには写真の「かけぽん(正式名称はチョーコーゆず醤油 かけぽん)」を水のように使っていたのだが、これがとにかくだしが効いててまろやかでうまい。一本500円くらいで、家族で月に2本は消費していたと思う。しかしもちろんこんな最果ての地に愛しのかけぽんがあるはずもなく、オリエンタルフードマーケットにはいわゆるポン酢が一本$6くらいで売られているのみ。普通のポン酢って200円くらい、という感覚がまだ残っているわたしには到底買えない。みりん(1リットルで$10)とかなら涙を飲んで買うけど。

そんなわけでポン酢が我が家にはない。しかし目の前の刺身をどうしてくれよう。そうだ、作ればいいんじゃん。というわけでポン酢を作ってみた。以下、覚え書き的に配合。

①みりん 100ml
②日本酒 40ml
③白ワイン 60ml (ほんとは酒100mlでいいんだけど、こちらでは日本酒のほうが高いので)
④顆粒だし 小さじ1/2強
⑤柑橘果汁 100ml (今日はいただきもののグレープフルーツ。key limeなどもこちらではやすいのでそれで作っても良さそう。日本なら理想的にはゆず。季節的に手に入らなければみかんとかオレンジとか、あとはポッカのレモン汁とかでもいけそう)
⑥酢 100ml
⑦醤油 200ml
⑧オレンジジュース 50ml

みりん、酒類は煮切ってあら熱をとってから混ぜます。ほんとは昆布とか鰹節とかあれば絶対おいしいのだけれど、あいにく母が送ってくれたはずのそれらはまだ届いていないので顆粒だしで代用。なのですが、できたのはかなりかけぽんに近い味。いや、もしかしたらかけぽんを超えたかもしれない。オレンジジュースをいれたのは甘みとフルーツ感がもう少し欲しかったからなのだけれど、これがけっこういける。あとコク出しにバルサミコ(こっちでは安い)も少しいれてみた。

そんなこんなで完成したポン酢をお茶の入ってた瓶で冷やして、たっぷりのネギ(こちらではgreen onionというのが一番和ネギにちかい)とたっぷりのおろし生姜(生姜も安い)をお刺身に乗せて自家製ポン酢をかけて食す。うまし!あああ、うまし!友達よぶのももったいなく、つい一サクひとりで完食してしまった。残ったアラとかはお魚カレーにしようと思います。これまたおいしいんだ。ほくほく。