お金貯めて三日泊まるのが夏休み
週刊誌読んでやって来れば数珠繋ぎ
冷めたスープ放り投げるように飲まされて
二段ベッドでもあたいの夏休み
Summer Vacation  あたいのために
Summer Vacation  夏 翻れ

—中島みゆき「あたいの夏休み」

2010年12月6日月曜日

I love you までどのくらい

アメリカのテレビドラマを見ているとしばしばI love you問題が取沙汰される場面に遭遇する。要は「付き合ってずいぶんなのに彼(彼女)が "I love you" と言ってこない」「"I love you" と意を決して言ったのに "I love you, too" と言い返してくれなかった」などということなのだけれど、英語圏のリレーションシップにおける最初の "I love you" というのは事ほどさように大問題である。

アメリカにおける恋愛関係の発展というのは、おそらくdating (「付き合う」以前の試行段階:ただしここに肉体関係が含まれる場合も多々あり、「俺はdateしかしない主義だ」などと宣う者も目にする)を経てgoing out(ある種のcommitment)に至るということなのだと思うのだけど、たとえ相互の承認のもとgoing outの状態、またはrelationshipに至ってもすぐには "I love you" を発しないのがどうやら普通のアメリカ人の感覚らしい。前にアメリカ人の友達に「日本の男女関係って、愛がない…」とぼそっと言われ、なんだそりゃと思ったのだけど、考えてみれば日本だと付き合ったその日に「愛してるよ」とかわりと普通どころか、ゴスペラーズに至っては「愛してるって最近言わなくなったのは/ほんとうにあなたを愛し始めたから」とか歌い上げるわけだし(日本における愛と恋の差というのは興味深い問題で、結局のところ宗教に関わってくると思うんだけど、平安時代に仏教的に愛はだめだけど(執着だから)恋はokみたいなノームがあった事も多少関係してくるのかもしれない)、まぁアメリカ人の「love」と日本人の「愛」というのには若干の乖離があるのだろう。

さてそれではアメリカ人が"I love you"というまで平均的にどのくらいかかるのかと思い、試しに"How long does it take"とGoogleバーに打ったら第一候補に"How long does it take to say 'I love you'?"が出てきたので、やっぱりこれって女子的にも男子的にもそれなりに一大事なんだろう。で、結果はというと、そんなもん人によって違うよ、という当たり前の結論はさておき、だいたい2、3ヶ月というのが平均値のようである(もちろん「一週間くらいかな」という人もいれば「2年付き合ってるのにまだなにも言われてない」とか「半年以内に言われてもいまいちピンとこない」とか言う意見も各複数あり)。で、ちょうどわたしはいま付き合って3ヶ月ほどになる彼氏がいるのだが(そうですそうです、新歓コンパ的なものでロックオンされて振り切れずそのまま付き合うことになったんです)、ついに昨日、そんな劇的 I love you モーメントがあった。

冷蔵庫の中身がついに底をついたのでこれは死ぬと思い、彼に電話して買い物に連れて行ってもらったのだけど、うちに帰ってきたらいかんせん忙しいし早く勉強始めたいし、しかし買い物行ってすぐバイバイはなんか申し訳ないし、とジリジリしながらも一緒にしばらく時間を過ごしていたら、そのうちわたしのコンピューターにかじりついてESPNでFC Barcelonaの試合を見始めたもんだから(わたしのパソコンは彼のより性能がいいのでESPNのビデオが滑らかに移る)、げ、あと2時間いるつもりかよ、と思わずこめかみがひきつった。で、さらにしばらく一緒にいて、さて、さすがにもうそろそろペーパー書くよ、と言ったら、やけに深刻そうな顔をして、なにか僕たちの関係に不安や不満とかある?と言われたので、ないないないない、大変人間的な関係でありがたく思ってる、と返したところ、でもさっきすごい顔してたよ、Barcelonaの試合のとき、と言う。で、いや、実はほんとにそろそろ勉強したくて…と言おうとしたところ、「さっきは "I love your computer" とかいってごめん。I love you more than your computer and Barcelona …というか比較の問題じゃなくて I love you in general」と真面目な顔で言われ、大変に焦った。なんかすごい誤解がある気がしたのだが、とりあえず義理堅い日本人としては I love you, too と返さなければいけない気がして応えてみたのだけど、なんだろうこの不全感。