お金貯めて三日泊まるのが夏休み
週刊誌読んでやって来れば数珠繋ぎ
冷めたスープ放り投げるように飲まされて
二段ベッドでもあたいの夏休み
Summer Vacation  あたいのために
Summer Vacation  夏 翻れ

—中島みゆき「あたいの夏休み」

2010年8月11日水曜日

水の都


水が合うとか合わないとか、そういう言葉をこんなにリテラルなものとして感じたのは初めてである。

Louisianaというのはおそらく全米でも一、二を争う降水量の多い土地で、夏場の日中、気温は100°F(37℃くらいだろうか)、湿度は70%を超えることがままある。そしてなんだか雲がでてきたなぁ、と思うと、ものすごい夕立が来る。なんのことはない、要するにここは亜熱帯なのだった。草木は茂り森をなし、栗鼠やアライグマ、蜥蜴に虫が闊歩する(ちなみにここではどんな金持ちのうちにもゴキブリがいるらしい)。一種異様な生命力がみなぎる土地だ。

そんなわけでBaton Rouge には(文字通り)水が溢れている。ハリケーンがくればもちろんその降水だけで洪水になるが、普通の夕立でも10cmくらい道路に水がたまることもしばしばで、それ以外にもわたしのアパートから歩いて数分のところにはMississippiが流れているし、その他にもUniversity Lakeという不忍池の数倍の大きさの湖があり、これらが決壊とかしたらそりゃすごいことになるよなぁとしみじみ思う。

そんなBaton Rougeの水なのだが、これが超がつくほどの軟水なのである。とにかく柔らかい。シャンプーの泡立ちは入道雲のごとくだし、シャワーから上がると体中に化粧水を塗ったような感じになっている。といえばいいことづくしのようだがそうでもなく、たとえば食器を洗っているといつまでも洗剤が落ちた気がしない。水というのはこんなに違うものかと驚く。ちなみにLos Angelesからセットアップのヘルプに来てくれた友人によればCaliforniaの水はカチンコチンらしいのだが、それほど離れていなくても、例えば同じ南部のNashville、それに車でたった一時間のNew Orleansでもわりと固いは固い。このBaton Rougeの水の柔らかさというのはほんとに謎だ。Avenne Waterにさえ似ているので、いっそボトルに詰めて売れば街も潤うのに、などと思うのだった。

写真はNew Orleansの近くのSwamp。ほんとに水、水、水なのだ、Louisianaは。